(5645) 死の謎に迫る科学2025/04/15 02:51

広く知られる死の姿を塗り替えるかもしれない現象が見付かった, と日経が報じている.

呼吸や心臓が停止した後に. 脳が盛んに活動したり, 意識が保たれたりしたと言う.

死の間際に体で起きる変化を調べる科学研究が, 神話や宗教が描いて来た人生の最期を解き明かそうとしている.

呼吸と心臓の拍動が止まり, 目の瞳孔が開く... 医師が死を判断する 3 つの基準だ.

呼吸や心臓が止まると, 人は短時間で意識を失い, 臓器移植の提供者 (ドナー) の脳死を判定する基準の 1 つにも, 脳波が検出されない事がある.

脳の働きは人の生命活動を象徴する現象と言える.

米ミシガン大学などが 2023 年に学術誌に掲載した論文は, この常識に一石を投じた. 意識不明の 4 人の患者の脳波を, 人工呼吸を止める前後で分析した.

2 人は中止後に, 意識や知覚に関わるとされる周波数帯の脳波が盛んに出た. 更に側頭や頭頂の脳波が同時に変化した.

健康な人の脳に表れる現象だ. 論文著者でミシガン大学のジモ・ボルジギン准教授は 「人工呼吸の中止で酸素が不足し, 自律神経の働きが乱れて脳波に影響した」 と見る.

活発な脳波は約 6 - 9 分続いた. ボルジギン准教授は 「2 人は人工呼吸器を外した後, 秘かに意識を保っていたかもしれない」 と見る.

脳波は通常, 頭皮の上から測る. 秋田大学の新山 喜嗣名誉教授は 「脳を覆う頭骨などを通るうちに脳波が弱まり, 近くの筋肉を流れる電流の影響でノイズが入り易い」 と指摘する.

そもそも死にゆく人の体を調べるのは難しい. ノイズを脳波と見間違えた可能性が残り, 実態の解明には研究を重ねる必要がある.

但し, 論文に似た内容の研究は他にもある. 18 年にドイツなどの研究者が, 心停止後に脳の神経細胞が活動を再開する現象を論文で報告した.

新山名誉教授は, ミシガン大の研究者も同じ現象を見たと考える. 「働かなくなった脳が一時的に復活した事例かもしれない」 と話す. 2 人が意識を保っていたとは考え難いと見るが, 脳の活発な活動は従来の死生観を覆す.

心停止後に意識が続く事を示唆する研究は他にもある.

米ニューヨーク大学などが 23 年に学術誌に論文を発表した. 病院で心臓が止まった約 600 人の内, 心肺蘇生の施術で回復した 28 人に聞き取り調査をした.

すると心臓が停止していた間に記憶や知覚があったと 11 人が答えた. 施術中に脳の状態を観察すると, 一部で健康な人の脳で見られる様々な周波数の脳波が出ていた.

回復した 28 人が素早く蘇生措置を受けたのであれば, 心停止後に意識を保っても不思議ではない.

一方で調べた人数が少なく, 一部だけを見ていると言う批判も成り立つ. 実際の社会では蘇生措置を受けずに亡くなる人が殆どだが, その場合に意識が如何なるかも分らない.

死には依然として多くの謎が残り, その姿は思いのほか複雑だ.

近代に法制度が整備されると, 人は生死を 1 つの時点で区切る様になった.

故人が様々な権利を失ったり, 後継者が財産を受け継いだりする為だ. 法制度が生んだ常識が広がり, 人々は死を瞬間的な出来事だと捉える様になった.

これに対して新山名誉教授は 「死はゆっくりと進行し, 時には逆行するとみる専門家が多い」 と話す.

医師が死亡診断書を書いた後に, 心臓が短時間弱く動く事もある.

科学研究を通じて死の過程が明らかになれば, 人が最期を迎える心積りを整える手掛かりにもなり得る.

避けられない死に悩む人々の心を科学が救う日が待たれる.

Have a nice day!
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