(5888) ライバルと戦うか逃げるか 「ネズミ型」 と 「ミジンコ型」2025/12/24 02:13

生物たちは餌などを巡り, ライバルと日々激しい競争を繰り広げている.

ライバルと正面から戦う代表格のネズミは闘争心を生む神経回路を脳に備え, 争いを避ける生物の一種であるミジンコは卵の状態で苦境を遣り過す.

ライバルとの激戦に勝つ為に欠かせない 「ハングリー精神の源」 を見付けた... 理化学研究所は 4 月, こんな研究成果を発表している.

マウスの脳の奥深くにある 「間脳」 と言う部位には, 強い敵に出会っても諦めずに戦う様に促す 「勝者の神経回路」 と, 反対に直ぐに降参させる 「敗者の神経回路」 がある.

この 2 種類の働きが鬩ぎ合い, マウスの行動を決める.

研究チームはマウスの遺伝子を改変し, 敗者の回路の働きに関わる 「アセチルコリン」 と言う物質の生産を抑えた.

すると, 細い筒の中で出会った他の強いマウスと諦めずに戦い, 相手を外に押し出して勝つ様になった.

反対に脳の一部に光を当て 「光遺伝学」 の技術を使い敗者の回路の働きを強めると, 今度はあっさりと負けた..

マウスの脳にある 2 種類の回路は餌などを巡る戦いの勝敗に影響を与えている可能性がある.

研究チームによると人間や魚類も脳にマウスと同じ神経回路を持つ.

理研の岡本 仁客員主管研究員は 「勝者の回路はストレスへの耐性を高め勝利に役立っているのだろう」 と話す.

一方, 東北大学は 2024 年, ミジンコを観察した研究成果を発表した.

一部の集団は自らの弱さを悟り, 耐久性が高く長期間に亘って卵の状態を保つ 「休眠卵」 を作る事で餌を巡るライバルとの競争を避け, 次世代に命を繋いでいた.

東北大はメスだけで休眠卵を作る特殊なミジンコの 2 つの集団を見付けて調査した.

自然界では強い生物と餌の種類や生息する場所が重なると, 弱い生物が滅びるリスクが高まる.

だがこのミジンコは強いグループと弱い集団が同じ池で 9 年間に亙り共存していた.

秘密は休眠卵にあった.

弱い集団は強いミジンコが水中に出す物質の量を手掛かりに, 毎年秋頃に多数の休眠卵を産む.

強いグループは一時的に生息数を増やすが, 休眠卵を作るのが遅れて多数が魚などに食べられる.

弱い集団は卵の状態で不利な時期を遣り過し, ライバルが減った後に孵化して仲間を増やす.

東北大の占部 城太郎名誉教授は弱いミジンコについて 「一見すると競争に負けている様だが, 実は優位に子孫を残す」 と指摘する.

弱いミジンコは不利な状況でライバルと争うのを避け, 事態が好転するのを待った事になる.

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