(4176) 福島から学ぶリスクの 「相場」2021/04/05 01:54

先日, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載している 「がん社会を診る」 で, 次の様に述べておられる. 参考にして戴きたい.

東京電力福島第 1 原子力発電所の事故から, 明日で 10 年になります.

事故の翌月から, 福島, 特に飯舘村の支援を続けて来た私にとっても感慨深いものがあります.

幸い, 住民の被曝量は非常に少なく, 特に, 食品の放射能については徹底した管理がなされて来ました.

米や肉などの一般食品の放射能の基準値は, 欧州連合 (EU) や米国の凡そ 1/12 のキロ当り 100 ベクレルと設定されました.

事故翌年の 2012 年から米の 「全量全袋検査」 が開始され, 15 年産以降, 総ての米袋がこの厳しい基準をクリアしています.

食肉についても同様で, 天然に存在する放射性物質による内部被曝は, 年間 1 ミリシーベルト程度ありますが, 事故による追加の内部被曝は略ゼロです.

外部被曝の方はゼロとは言えません.

小学生から高校生を対象に, 12 年, 南相馬市で行われた測定の結果では, 年間の線量は平均で 1.36 ミリシーベルトでした.

これは自然放射線とセシウムなど, 事故に伴って発生したものを合算した数字です.

ヨーロッパの多くの国では, 自然の外部被曝量が年 5 ミリシーベルトを超えますから, 如何に低いレベルか分ると思います.

14 年には, 福島の高校生がフランス, ポーランド, ベラルーシの高校生と共同して, 各地の外部被曝量を測定し, 英語の論文に纏めました.

福島を含めて, 各地域の線量レベルに差がない事を示したこの論文は 11 万回近くダウンロードされています.

福島の事故は, チェルノブイリと同じ 「レベル 7」 とされますが, 住民の被曝量には雲泥の差があります.

「福島の勝利」 と言えますが, 事故から 10 年経った今も 4 万人近い県民が避難を続けています.

低線量被曝で起り得る人体影響は 「発癌リスクの上昇」 だけですから, 癌を避ける為に避難を続けて来た事になります.

然し, 避難者の健康状態は悪化しており, 特に, 糖尿病が 6 割増えたと言うデータもあります.

糖尿病は癌を 2 割も増やしますから, 癌のリスクを抑える為の避難が結果的に癌を増やしてしまう事になります.

コロナ禍でも言える事ですが, リスクの大きさを冷静に捉える 「相場観」 を持つ事が大切だと思います. (引用終り)

福島の原発事故では, 未だに 「風評被害」 に苦しんでいる人たちが少なくない.

風評もさることながら, ネット社会の今は 「フェイクニュース」 に溢れている.

中川先生はリスクの 「相場観」 を持て! と仰有っているが, 全く同感である.

「事実を見究める」 事は大事な事であるが, 同時に, それが如何に難しい事であるか, 溜め息が出そうである.

Have a nice day!
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