(4897)体サイズ急変, 絶滅リスク2023/03/29 03:12

ドイツのマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルクや東京大学などは, 生物が体のサイズを極端に変える進化は絶滅に繋がり易い, との分析を纏めた, と日経が報じている.

島の様な特殊な環境では, 大きい動物が小型化したり, 小さい動物が大型化したりする.

研究成果は絶滅危惧種となっている種の保全に生かせる.

海で囲まれた島は, 外との行き来が少なく, 特殊な生物進化を促す 「進化の実験室」 でもある.

奄美大島などにもアマミノクロウサギの様な独自の進化を遂げた種がいる. 大陸から離れた島では捕食者がおらず, 脳の縮小や走行能力の低下も起こると言う.

研究チームは島に棲む 1231 種と, 絶滅した 350 種の体のサイズや祖先からのサイズの変化, 絶滅のリスクを文献調査などから調べた.

統計分析で解析すると, 体のサイズが極端に変化した種ほど絶滅のリスクが高かった.

大陸の祖先と比べて体重が 1% 程度になったゾウや, 祖先の 200 倍の大きさになったジャコウネズミは絶滅した.

追い打ちを掛けるのが, 現代人 (ホモ・サピエンス) だと言う.

過去 2300 万年間でホモ・サピエンスが島に渡れる様になると, 以前に比べて哺乳類の絶滅率が 16 倍になった.

以前の原人や旧人の場合は絶滅率の上昇は約 2 倍にとどまった.

ホモ・サピエンスは航海技術が向上して原人や旧人が行けなかった島にも行ける. 狩猟能力の高さも相俟って, 島で捕食者の脅威に鈍くなっていた種を絶滅に追い込んだと考えられると言う.

研究チームの久保 麦野東大講師は 「島での進化の影響が大きい種ほど, 人の影響に脆弱になり易い」 と話している.

論文は米科学誌 「サイエンス」 に掲載されている.

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