(5256) 市販薬乱用, 若者蝕む2024/03/22 02:09

風邪薬など市販薬を過剰摂取する 「オーバードーズ」 が若者の間で蔓延していると日経が報じている.

これが原因と疑われる 20 代以下の救急搬送は 2023 年 1 - 6 月で 2602 人と, 全体の半数近くを占める.

SNS の影響もあると見られ, 生き辛さを抱える若者の精神面のケアや啓発が必要となっている.

「咳止め薬を大量に飲んだ」. 23 年 12 月 14 日朝, 東京都足立区の路上で 20 代の男性と 10 代後半の女性が倒れている処を発見された. 女性は一時, 意識不明の状態となった.

その前日には, 東京都目黒区の小学校で女子児童 2 人が体調不良を訴えて搬送された. 校内に持ち込んだ市販薬を過剰に摂取していた.

総務省消防庁などによると, 医薬品の過剰摂取が原因と疑われる 10 代以下の救急搬送は 22 年は 1520 人を数え, 集計を取り始めた 20 年から 4 割超増えた.

23 年は上半期で 860 人と, 22 年を上回るペースだ. 20 代は更に多い 1742 人で, 同様に 22 年を超すペーストなっている.

過剰摂取の広がりにはネットが影響していると見られる. 「OD (オーバードーズ) 界隈」 「パキる」. SNS の投稿にはこうした言葉と共に, 大量の錠剤の画像が並ぶ.

また, 摂取した医薬品の量や摂取後の自覚症状を詳細に記した投稿も散見される.

薬物乱用防止の出前授業に取り組む新潟薬科大の城田 起郎助教によると, 大麻など違法薬物の使用は興味本位が目立つ一方, 市販薬の過剰摂取は悩みや生き辛さから逃れ様と行う場合が多いと言う.

国は対策に動き出している.

乱用の恐れがある市販薬を巡り, 厚生労働省の検討会は 23 年 12 月, 20 歳未満の若者が大容量製品や複数個を購入するのを禁じる販売制度見直し案を取り纏めた.

依存性がある 6 成分を含んだ咳止め薬や風邪薬などが 「乱用等の懼れのある医薬品」 に指定されている.

現行法では中高生らが購入する際は, 薬局側が購入者の氏名や年齢を確認. 複数購入するなら理由を聞く事も義務付けている.

見直し案はこれを更に強化. 20 歳未満によるこうした薬の購入は小容量の製品 1 個に限定する.

薬局側が氏名などを写真付き身分証で確認し, 購入履歴を保存する事も盛り込んだ.

20 歳以上でも複数個・大容量の購入では同様に確認する.

同省は専門部会での議論を経て, 医薬品医療機器法の改正を目指sしている.

新潟薬科大の城田助教によると, 過剰摂取に依存する若者の多くが学校生活や家庭環境などで生き辛さを覚えていると言い 「精神保健福祉センターの窓口に繫げるなど精神面のケアが欠かせない」 と強調する.

その上で 「過剰摂取出来ない環境を整えても生き辛さが残り, 別の自傷行為や自殺に繋がるリスクがある. 医療現場では悩み相談に乗る事が重視されており, 教育現場や家庭にも適切な向き合い方を啓発する事が重要だ」 と話している.

然し, 「言うは易く, 行うは難し」 で地道に取組んで行くしかない事案である.

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