健康小話

順天堂大学の安藤 美樹教授や寺尾 泰久教授らは iPS 細胞から作った免疫細胞で子宮頚癌を治療する医師主導の臨床試験 (治験) を始めた, と日経が報じている.

参加する患者の募集も開始した.

若い世代に多い子宮頚癌の効果的な治療法の確立を目指すと言う.

子宮頚癌はﾋﾄﾊﾟﾋﾟﾛｰﾏｳｲﾙｽ (HPV) の感染により発症する. 国内では 1 年間に約 1 万人の女性が子宮頚癌と診断され, 約 3000 人が死亡する.

発症した場合, 子宮を切除する手術や抗癌剤の投与, 放射線照射などで治療する.

こうした治療を受けたものの癌が再発し, 標準的な治療では効果が見込めない人を治験の対象にする.

HPV の複数の種類の内, 今回は子宮頚癌の半数を占める 「16 型」 に感染した患者を対象にする.

子宮頸癌細胞は HPV 特有の蛋白質を持つ事が多い. 今回の治療法はこの蛋白質に反応する免疫細胞の一種 「T 細胞」 を患者に投与し, 癌細胞を攻撃させる.

健康な人の細胞から HPV の蛋白質に反応する T 細胞を取り出し, 一旦 iPS 細胞に変える. その後再び T 細胞に変えて患者に投与する.

増やし易い iPS 細胞に変える事で, 治療に必要な量の細胞を確保し易くする.

また, iPS 細胞の段階で遺伝子を編集し, 患者に投与しても拒絶反応が起き難い様にする.

治療用の T 細胞を患者の細胞から作る方法もある. ただ細胞を増やすのに時間が掛かる課題があったと言う.

本日のｶｯﾄ写真 : 下平 宏氏ﾌｫﾄｷﾞｬﾗﾘｰから (振り向くﾙﾘﾋﾞﾀｷの雄)

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