健康小話

脳性麻痺の主原因となる新生児低酸素性虚血性脳症 (HIE) を巡り, HIE で脳障害を引き起す要因となる細胞にｱﾐﾉ酸を繋げた 「ﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞ」 を注入すると, ﾏｳｽで脳の萎縮を防げた, と滋賀医大のﾁｰﾑが米医学誌に発表している.

今後, 人に近い動物でも応用 出来るか如何かを確認, 新たな治療法として期待出来るとしている.

ﾁｰﾑによると, HIE は出産前後に新生児の脳が酸素不足になり, 神経が破壊されて起る.

脳の体温を下げて鎮静化を図る低体温療法があるが, 脳細胞自体を十分には保護出来ない為, 効果に限界があった.

今回注目したのが脳内で免疫を担う細胞 「ﾐｸﾛｸﾞﾘｱ」. 出産時に酸素や血流が不足し, 一部, 炎症を引き起す 「炎症性ﾐｸﾛｸﾞﾘｱ」 に変化して脳神経を破壊, 脳性麻痺になる事があると言う.

ﾁｰﾑの寺島 智也准教授らは, 正常な細胞には影響を与えず, 炎症性ﾐｸﾛｸﾞﾘｱ のみに結合する特殊なﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞを開発.

このﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞは, ﾐﾄｺﾝﾄﾞﾘｱの機能を止める事により, 細胞死を誘導する効果がある.

ﾏｳｽの脳に特殊なﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞと, ﾐｸﾛｸﾞﾘｱに結合しないﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞを注射し, 効果を比較した.

その結果, 特殊なﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞでは, 脳の萎縮面積が 2 - 3 割程度改善する事が分った.

炎症性ﾐｸﾛｸﾞﾘｱの一部が細胞死した事で, 炎症が緩和されたと見られる.

滋賀医大の辻 俊一郎准教授は「副作用などの安全性を確認して応用に繋げたい」 と話している.

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