健康小話

中国の雲南農業大学などの国際ﾁｰﾑは, 野生のﾌﾞﾄﾞｳをﾜｲﾝや食用の為に品種改良する栽培化は約 1 万 1000 年前に始まった, とする研究成果を纏めた, と日経が報じている.

野生と栽培用のﾌﾞﾄﾞｳ約 3500 品種のｹﾞﾉﾑ (全遺伝情報) を分析した.

ﾌﾞﾄﾞｳの栽培化は中東と, 黒海とｶｽﾋﾟ海に挟まれたｺｰｶｻｽ地方で略同時期に始まり, 主に中東から欧州やｱｼﾞｱへ広がったと言う.

研究ﾁｰﾑは, 欧州のﾎﾟﾙﾄｶﾞﾙやｽﾍﾟｲﾝからｱｼﾞｱの日本までの広大なﾕｰﾗｼｱ地域を中心に, 約 2500 の栽培用ﾌﾞﾄﾞｳと約 1000 の野生のﾌﾞﾄﾞｳを集め, ｹﾞﾉﾑを解読した.

これまで記録がなかった品種も発見し, 膨大な遺伝子ﾃﾞｰﾀの解析によって, ﾌﾞﾄﾞｳの進化や栽培の歴史を繙いた.

ﾌﾞﾄﾞｳの栽培化は約 1 万 1000 年前, 1000 ｷﾛﾒｰﾄﾙ以上離れた 2 つの地域で略同時期に始まったと推定した.

現在のｲｽﾗｴﾙ, ﾚﾊﾞﾉﾝなどの中東の地域と, もう一つは現在のｼﾞｮｰｼﾞｱ, ｱﾙﾒﾆｱなどの南ｺｰｶｻｽの地域だ.

2 つの地域間の人々の移動や文化交流が同時期の栽培化に繋がった可能性があると言う.

栽培化は農耕の始まった時期と略一致する.

中東で栽培化されたﾌﾞﾄﾞｳは欧州に広がり, ﾏｽｶｯﾄなどが生まれた.

南ｺｰｶｻｽからの広がりは限定的だった.

これまで, ﾜｲﾝ用のﾌﾞﾄﾞｳは食用よりも先に栽培化されたと考えられていたが, 今回の分析では, ﾜｲﾝ用と食用は同時だったと推定している.

ﾌﾞﾄﾞｳの風味や色, 食感など栽培品種に関係する遺伝子も特定した.

ﾜｲﾝを改良する為の品種や, 気候変動に強い品種などの開発に役立つ可能性があると言う.

研究成果は米科学誌ｻｲｴﾝｽに掲載されている.

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