日本の開国? ― 2013/03/17 02:55

安倍首相は 15 日, 首相官邸で記者会見し, 環太平洋経済連携協定 (TPP) 交渉に参加する, と正式に表明した.
これに関し, テレビのニュースが 「政府はどんな補助金・支援策を講じて呉れると言うのか!」 と憤っている, 或る農家の談話を報道していた.
勿論, ニュースでは, 「これを機に, 積極的にコメの輸出を推進して行きたい」 と賛成の意を表明している農家の声も平等に報道していた.
東洋医学の 「陰陽論」 ではないが, 物事には須らく 「表 (プラス)」 と 「裏 (マイナス)」 とがある.
人生には山があり, また谷もある様に, 良い事尽くめ, 悪い事尽くめ, と言う事は有り得ないのである.
仮に日本が TPP に参加しなかったとしても, 日本がその影響を全く受けずに済むなどと言う事もまた有り得ない.
政府はどんな補助金・支援策を講じて呉れると言うのか? と憤っていた農家が, 補助金頼りで全く自助努力もしてこなかった, などとは思わない.
が, もっともっと前向きに 「活路を開く」 抜本的な方策を推進して行かなければ, TPP とは無関係に, 日本の農業は相変らず衰退の道を辿るであろうと思うのである.
反対論の急先鋒である農業関係者は 「日本の農業を守る」 と言うよりは 「農協」 と言う組織 (利益団体) そのものを守るために反対を唱えてはいないのか?
学校の苛め問題がこれほど社会問題化したのも, 「学校」 或いは 「教育委員会」 という組織を守ろうとしてきた 「村意識」 が大きな要因だったのではないのか?
これまでの日本の農政には, 何処かに間違があったのである.
例えば鉄鋼や石炭など, 歴史を振り返れば, 農政に限らず, 補助金などの優遇政策で多少は生き永らえたにせよ, "再生" した産業などはなかったのである.
さて, 今月の日経朝刊の 「私の履歴書」 は, "Tough Negotiator" として名を馳せた, 元米通商代表部 (USTR) 代表のカーラ・ヒルズ女史が担当しているが, 真にタイミング良く, 16 付けの連載分で次の様な回想録を披露している. (以下引用)
「我々は 210 万台しか (米国には) 輸出致しません」 米通商代表部 (USTR) 代表の執務室に架かってきた電話の主は松永 信雄駐米大使だった.
松永大使が意味していたのは当時, 日本政府が立案した対米乗用車輸出自主規制 (VER) の事である.
私は即座にこう応じた.
「大使閣下, その事を私に伝える必要はないと思います. なぜなら, 我々はそう言った自主規制を信奉していません. あなた方は望むだけ輸出して下さい. 我々も同じ様に輸出します」
そうは言ったものの, 日本側は貿易摩擦を回避するため, 一方的な規制措置に拘っていた.
これは経済的な観点に立てば, 大きな誤りだった.
輸出を制限すれば競争も制限され, それだけ価格は上昇してしまうからである.
実際, 日本による VER は米国の自動車産業を怠惰にしただけだった.
ビッグスリーの経営者たちは競争力に何の心配もしないまま, 市場によって正当化されない高禄を食み, 年金の増額も許してしまった.
そうした意思決定は後に, 米国の自動車産業が壊滅的状態に陥るという形で跳ね返ってきたことは歴史が証明している.
日米間における, こうした輸出自主規制の慣習はレーガン前政権から続いていたものだ.
その範囲は自動車だけでなく, 鉄鋼にも及んでいた.
日本市場における米国製半導体の目標シェアを定めた日米間の半導体協定も性格上, これに似たものと言える.
私はこうした状況に強く反発していた. 政府がコントロールするような貿易は終らせなければならない, と固く信じていたからである.
当時, この VER について 「断固, 継続」 を主張し, 猛烈なロビー活動をしかけていた一人にクライスラー社会長, リー・アイアコッカがいた.
1991 年 3 月, アイアコッカは大統領に書簡を送り, 「91 年の米自動車市場における日本車のシェアを 90 年レベルに抑え込むべきだ」 と進言している.
USTR の代表に就任すると同時に, 私は大統領に週 1 回, 自分の担当分野について個人的なメモを作成し, 執務室に届けていた.
アイアコッカの書簡を見せられた私は大統領宛に緊急のメモを纏めた.
この中で私は 「アイアコッカの進言は間違っており, 寧ろ, 逆効果だ」 と指摘し, 「日本車に新たな規制の枠を嵌める事は米国の自動車産業にとって中・長期的に何も齎さないだろう」 と言明している.
それがどこであれ, 市場が閉鎖されていれば, 必ず摩擦は生じるものだ.
どの国でも自らの市場・産業を守りたい, という保護主義を変えるのは難しい.
そして, それがお互いに保護的な動きを助長してしまう.
どの政府にとっても, 開かれた市場が国家の経済的な利益に資するのだという事をしっかり認識する事が重要なのである.
日本との貿易関係においても, 私たちはこの難問に直面した.
ある時, 農産物の中でも最も政治性の強いコメの問題について, 日本が米国産のコメの展示を拒否する事があった.
それを説明するメモを届けると, 即座に大統領による直筆のコメントが返ってきた. 私のメモの隅にはこう書かれていた. 「これには本当に苛立たせられる...」
引用は以上であるが, 上記カーラ・ヒルズ女史の追想録は示唆に富む内容が多いと感じた次第である.
一例を挙げれば, "USTR の代表に就任すると同時に, 私は大統領に週 1 回, 自分の担当分野について個人的なメモを作成し, 執務室に届けていた." と言う件など, 流石, 出来る人は違うものだ, と感銘を受けるのである (表題とは関係ないのだが...).
交渉のテーブルにさえ付く事をしないのは論外である, と私などは考えているけれども, 何はともあれ, 「攻撃は最大の防御なり」 と言う諺があるが, 東洋医学には 「陰極まれば陽となり, 陽極まれば陰となる」 と言う基本的な考え方もある.
国論を二分している TPP 問題, 果して 「陰」 となるか 「陽」 となるか!
Have a nice weekend!
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・この 「健康小話」 のブログは, はり・きゅう・マッサージ トミイ
(http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html)
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・鍼・灸・マッサージ・按摩・指圧を初め, 広く, 東洋医学や健康, 人としての生き方等に関して, 日頃感じている事を書いて行きます.
・なお, 診療予約時, 「このブログを読んだ」 と言って戴いた患者さんは, 初診料が半額となります.
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(E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp)
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勿論, ニュースでは, 「これを機に, 積極的にコメの輸出を推進して行きたい」 と賛成の意を表明している農家の声も平等に報道していた.
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人生には山があり, また谷もある様に, 良い事尽くめ, 悪い事尽くめ, と言う事は有り得ないのである.
仮に日本が TPP に参加しなかったとしても, 日本がその影響を全く受けずに済むなどと言う事もまた有り得ない.
政府はどんな補助金・支援策を講じて呉れると言うのか? と憤っていた農家が, 補助金頼りで全く自助努力もしてこなかった, などとは思わない.
が, もっともっと前向きに 「活路を開く」 抜本的な方策を推進して行かなければ, TPP とは無関係に, 日本の農業は相変らず衰退の道を辿るであろうと思うのである.
反対論の急先鋒である農業関係者は 「日本の農業を守る」 と言うよりは 「農協」 と言う組織 (利益団体) そのものを守るために反対を唱えてはいないのか?
学校の苛め問題がこれほど社会問題化したのも, 「学校」 或いは 「教育委員会」 という組織を守ろうとしてきた 「村意識」 が大きな要因だったのではないのか?
これまでの日本の農政には, 何処かに間違があったのである.
例えば鉄鋼や石炭など, 歴史を振り返れば, 農政に限らず, 補助金などの優遇政策で多少は生き永らえたにせよ, "再生" した産業などはなかったのである.
さて, 今月の日経朝刊の 「私の履歴書」 は, "Tough Negotiator" として名を馳せた, 元米通商代表部 (USTR) 代表のカーラ・ヒルズ女史が担当しているが, 真にタイミング良く, 16 付けの連載分で次の様な回想録を披露している. (以下引用)
「我々は 210 万台しか (米国には) 輸出致しません」 米通商代表部 (USTR) 代表の執務室に架かってきた電話の主は松永 信雄駐米大使だった.
松永大使が意味していたのは当時, 日本政府が立案した対米乗用車輸出自主規制 (VER) の事である.
私は即座にこう応じた.
「大使閣下, その事を私に伝える必要はないと思います. なぜなら, 我々はそう言った自主規制を信奉していません. あなた方は望むだけ輸出して下さい. 我々も同じ様に輸出します」
そうは言ったものの, 日本側は貿易摩擦を回避するため, 一方的な規制措置に拘っていた.
これは経済的な観点に立てば, 大きな誤りだった.
輸出を制限すれば競争も制限され, それだけ価格は上昇してしまうからである.
実際, 日本による VER は米国の自動車産業を怠惰にしただけだった.
ビッグスリーの経営者たちは競争力に何の心配もしないまま, 市場によって正当化されない高禄を食み, 年金の増額も許してしまった.
そうした意思決定は後に, 米国の自動車産業が壊滅的状態に陥るという形で跳ね返ってきたことは歴史が証明している.
日米間における, こうした輸出自主規制の慣習はレーガン前政権から続いていたものだ.
その範囲は自動車だけでなく, 鉄鋼にも及んでいた.
日本市場における米国製半導体の目標シェアを定めた日米間の半導体協定も性格上, これに似たものと言える.
私はこうした状況に強く反発していた. 政府がコントロールするような貿易は終らせなければならない, と固く信じていたからである.
当時, この VER について 「断固, 継続」 を主張し, 猛烈なロビー活動をしかけていた一人にクライスラー社会長, リー・アイアコッカがいた.
1991 年 3 月, アイアコッカは大統領に書簡を送り, 「91 年の米自動車市場における日本車のシェアを 90 年レベルに抑え込むべきだ」 と進言している.
USTR の代表に就任すると同時に, 私は大統領に週 1 回, 自分の担当分野について個人的なメモを作成し, 執務室に届けていた.
アイアコッカの書簡を見せられた私は大統領宛に緊急のメモを纏めた.
この中で私は 「アイアコッカの進言は間違っており, 寧ろ, 逆効果だ」 と指摘し, 「日本車に新たな規制の枠を嵌める事は米国の自動車産業にとって中・長期的に何も齎さないだろう」 と言明している.
それがどこであれ, 市場が閉鎖されていれば, 必ず摩擦は生じるものだ.
どの国でも自らの市場・産業を守りたい, という保護主義を変えるのは難しい.
そして, それがお互いに保護的な動きを助長してしまう.
どの政府にとっても, 開かれた市場が国家の経済的な利益に資するのだという事をしっかり認識する事が重要なのである.
日本との貿易関係においても, 私たちはこの難問に直面した.
ある時, 農産物の中でも最も政治性の強いコメの問題について, 日本が米国産のコメの展示を拒否する事があった.
それを説明するメモを届けると, 即座に大統領による直筆のコメントが返ってきた. 私のメモの隅にはこう書かれていた. 「これには本当に苛立たせられる...」
引用は以上であるが, 上記カーラ・ヒルズ女史の追想録は示唆に富む内容が多いと感じた次第である.
一例を挙げれば, "USTR の代表に就任すると同時に, 私は大統領に週 1 回, 自分の担当分野について個人的なメモを作成し, 執務室に届けていた." と言う件など, 流石, 出来る人は違うものだ, と感銘を受けるのである (表題とは関係ないのだが...).
交渉のテーブルにさえ付く事をしないのは論外である, と私などは考えているけれども, 何はともあれ, 「攻撃は最大の防御なり」 と言う諺があるが, 東洋医学には 「陰極まれば陽となり, 陽極まれば陰となる」 と言う基本的な考え方もある.
国論を二分している TPP 問題, 果して 「陰」 となるか 「陽」 となるか!
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・往診も承っております.
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