(2161) 復刻か? 複製か? ― 2016/01/25 02:38

日経夕刊のコラムに 「こころの玉手箱」 と言う欄がある.
毎週, 色々な分野で活躍している人が 1 週間単位でエッセーを連載している.
以下は, 資生堂相談役の前田 新造氏の最終回 (第 5 回) に載った分である.
西洋の調剤薬局が祖業の資生堂が化粧品に進出したのが 1897 年 (明治 30 年).
最初の商品が 「オイデルミン」 という化粧水だった.
名前はギリシャ語の 「良い」 「皮膚」 の造語で, 当時から 「資生堂の赤い水」 と呼ばれ, 今もお客様に愛され続ける超ロングセラー商品だ.
化粧品企画部長を務めていた 1997 年に 100 周年記念事業として進出当時の商品を発売する事になった.
この事は社長の福原 義春さんに逐次, 報告して準備を進めていた.
万端整って 100 年前とそっくりな商品を社長室にお持ちして, ゴーサインを戴く段取りの筈だったが, 福原さんが外箱を見て発した言葉に戸惑った.
「一寸待って. 『復刻版』 と書いてあるけど 『複製』 じゃないの. 調べてみて」
複製より復刻の方が歴史的な重みがある様に思えたし, 事情を明かせば外箱も出来上っていて 『復刻版』 となっていた.
そこで漢字の大家に伺う事にした.
「どちらでもいい」 と言う言葉を戴いたが 「厳密には刻を使うのは印刷物で, 製はモノで使う」 と仰った.
改めて福原さんに説明した.
「どちらでもいい」 で話を進めたかったが, 福原さんは押し黙っていた.
遂に私の方から沈黙を破り 「複製に変えます」 と話すと, 「そうして下さい」 と福原さん.
直ぐ外箱を作り直し, 福原さんに報告した時の言葉がずしんときた.
「たった二文字だけど, 正しい字を使う事が企業の品格を表すんですよね」
経営企画室長時代の 2003 年に新たなコーポレートメッセージを作り, 100 以上の候補の中から選んだのが 「一瞬も 一生も 美しく」.
処が役員会に諮ると 「一生が死を連想する」 と指摘があり, 差し戻された.
でも譲れない一線だと思い, 「『生きている以上は美しくありたい』 という強い気持ちを込めた」 と役員を説得し, 了解を取り付けた.
社長時代にはオイデルミンの複製を執務室に置いた.
信頼を築き上げ, 長い歴史を守るには何時も神経を研ぎ澄ませて仕事をしなければならないと心掛け, 言葉の大切さを実践した.
引用終り.
企業経営に限らず, 人間の生き方そのものもこう在りたいものだと思う.
Have a nice day!
--------------------------------------------------------
・この 「健康小話」 のブログは, はり・きゅう・マッサージ トミイ
(http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html)
の院長のブログです.
・鍼・灸・マッサージ・按摩・指圧を初め, 広く, 東洋医学や健康, 人としての生き方等に関して, 日頃感じている事を書いて行きます.
・なお, 診療予約時, 「このブログを読んだ」 と言って戴いた患者さんは, 初診料が半額となります.
・往診も承っております.
・心や身体に関する悩み事など, 何でもお気軽にご相談ください.
(E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp)
・English speaking clients are welcomed!
・Premium Healing Oil Massage is available!
・学割適用始めました.
毎週, 色々な分野で活躍している人が 1 週間単位でエッセーを連載している.
以下は, 資生堂相談役の前田 新造氏の最終回 (第 5 回) に載った分である.
西洋の調剤薬局が祖業の資生堂が化粧品に進出したのが 1897 年 (明治 30 年).
最初の商品が 「オイデルミン」 という化粧水だった.
名前はギリシャ語の 「良い」 「皮膚」 の造語で, 当時から 「資生堂の赤い水」 と呼ばれ, 今もお客様に愛され続ける超ロングセラー商品だ.
化粧品企画部長を務めていた 1997 年に 100 周年記念事業として進出当時の商品を発売する事になった.
この事は社長の福原 義春さんに逐次, 報告して準備を進めていた.
万端整って 100 年前とそっくりな商品を社長室にお持ちして, ゴーサインを戴く段取りの筈だったが, 福原さんが外箱を見て発した言葉に戸惑った.
「一寸待って. 『復刻版』 と書いてあるけど 『複製』 じゃないの. 調べてみて」
複製より復刻の方が歴史的な重みがある様に思えたし, 事情を明かせば外箱も出来上っていて 『復刻版』 となっていた.
そこで漢字の大家に伺う事にした.
「どちらでもいい」 と言う言葉を戴いたが 「厳密には刻を使うのは印刷物で, 製はモノで使う」 と仰った.
改めて福原さんに説明した.
「どちらでもいい」 で話を進めたかったが, 福原さんは押し黙っていた.
遂に私の方から沈黙を破り 「複製に変えます」 と話すと, 「そうして下さい」 と福原さん.
直ぐ外箱を作り直し, 福原さんに報告した時の言葉がずしんときた.
「たった二文字だけど, 正しい字を使う事が企業の品格を表すんですよね」
経営企画室長時代の 2003 年に新たなコーポレートメッセージを作り, 100 以上の候補の中から選んだのが 「一瞬も 一生も 美しく」.
処が役員会に諮ると 「一生が死を連想する」 と指摘があり, 差し戻された.
でも譲れない一線だと思い, 「『生きている以上は美しくありたい』 という強い気持ちを込めた」 と役員を説得し, 了解を取り付けた.
社長時代にはオイデルミンの複製を執務室に置いた.
信頼を築き上げ, 長い歴史を守るには何時も神経を研ぎ澄ませて仕事をしなければならないと心掛け, 言葉の大切さを実践した.
引用終り.
企業経営に限らず, 人間の生き方そのものもこう在りたいものだと思う.
Have a nice day!
--------------------------------------------------------
・この 「健康小話」 のブログは, はり・きゅう・マッサージ トミイ
(http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html)
の院長のブログです.
・鍼・灸・マッサージ・按摩・指圧を初め, 広く, 東洋医学や健康, 人としての生き方等に関して, 日頃感じている事を書いて行きます.
・なお, 診療予約時, 「このブログを読んだ」 と言って戴いた患者さんは, 初診料が半額となります.
・往診も承っております.
・心や身体に関する悩み事など, 何でもお気軽にご相談ください.
(E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp)
・English speaking clients are welcomed!
・Premium Healing Oil Massage is available!
・学割適用始めました.