健康小話

慶応義塾大学の家田 真樹専任講師らは, 心筋梗塞を起こしたﾏｳｽの体内で心筋細胞を効率よく再生させ, 心機能を改善する手法を開発している.

別の細胞に 3 種類の遺伝子を入れて拍動する心筋細胞に変える仕組みと言う.

心臓の再生医療では iPS 細胞から作った心筋細胞を移植する研究などが進展しているものの, 移植しないで患者の衰えた心機能を回復させる新たな治療法の足掛りになる手法である.

心筋梗塞では心筋細胞が失われるとともに拍動しない 「線維芽細胞」 が増え, 心臓のﾎﾟﾝﾌﾟ機能が下がる.

研究ﾁｰﾑは線維芽細胞に遺伝子を入れて心筋細胞に変える事に成功していたが, 効率が低く, 細胞の DNA が傷付く課題もあったと言う.

今回, 臨床試験 (治験) 支援大手のｱｲﾛﾑｸﾞﾙｰﾌﾟ子会社の ID ﾌｧｰﾏ (東京･千代田) と協力. 遺伝子の運び手として 「ｾﾝﾀﾞｲｳｲﾙｽ」 を用い, 線維芽細胞に遺伝子を効率よく入れ, DNA を傷付けずに心筋細胞に変える事が出来た.

心筋梗塞を起こしたﾏｳｽの心臓に遺伝子を入れ, 効果を調べた.

1 カ月後に心筋細胞が出来た効率は約 5%. 別のｳｲﾙｽを使う従来法の 5 倍に向上したと言う.

遺伝子を入れない場合に比べ, 心筋梗塞で線維化した部位が約半分に縮小し, 心臓のﾎﾟﾝﾌﾟ機能も改善している由.

今後はﾌﾞﾀやｻﾙなどで実験し, 効果や安全性を検証する予定.

5 年後を目処に臨床応用を目指している.

家田専任講師は 「遺伝子を入れる手法は簡便で患者の負担も軽い」 とｺﾒﾝﾄしている.

Have a nice day!
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