(4952) 出自を知る権利2023/05/23 02:32

第三者の精子による生殖補助医療で生まれた子とドナー (提供者) を仲介して繋ぐ取り組みが動き出すと言う.

医師や臨床心理士らが一般社団法人を設立し, 5 月から活動を本格化させている.

日本は海外と比べて生殖補助医療を巡る法整備が遅れている.

同法人は 「出自を知る権利」 の保障を求める声に応えながら, 権利の重要性の発信も目指している.

第三者の精子による非配偶者間人工授精 (AID) と呼ばれる生殖補助医療は, 1940 年代から国内で研究が始まったとされる.

これまでに 1 万人以上が AID で誕生したと見られるが, ドナーの情報は明かさない条件で実施されて来た.

今も法整備はされておらず, 生まれた子にドナーの情報を提供する仕組みはない.

設立した一般社団法人は 「ドナーリンク・ジャパン」 (東京都町田市). と称し ドナーの協力を得て, AID で生まれた人に出自の情報提供をめざしている.

出自を知る権利を巡っては, 日本が 1994 年に批准した子どもの権利条約第 7 条に 「出来る限りその父母を知る権利を有する」 と記されている.

同法人は, AID で生まれた人やドナーに登録を提案し, 希望すれば委託企業の DNA に関する検査を通じて, 遺伝の繋がりがある可能性のある人同士を 「マッチング」 して繋ぐ.

こうした取り組みは国内初と言う.

当面の対象は, 日本産科婦人科学会に登録した AID の 15 医療機関に罹った人に限定する.

09 年以降の AID による妊娠は年間 100 - 200 人台. ドナーが分らない事でアイデンティティー喪失に苦しむ負担を軽減したり, 情報が明かされる事でドナー本人が抱える悩みを緩和したりするカウンセリングも徹底する.

この程, 登録の受け付けを始め, 8 日に初のオンラインによる事業説明会が行われている.

先ずは, 精子提供者に関わる事業から始め, 課題や成果を検証しながら, 将来は卵子にも対象を広げ, ドナー同士や生まれた人同士で交流出来る場も作る計画と言う.

法人の立ち上げには, 第三者からの精子提供で生まれた人の他, 小児科医や社会福祉士, 臨床心理士らを含む 9 人が参加した.

アドバイザーとして弁護士 2 人も協力している.

生殖補助医療の研究者で, 代表理事を務めるお茶の水女子大学の仙波 由加里・研究協力員は 「法律が出来る前にドナーに関する情報を提供する仕組みを作り, 出自を知る権利の必要性も訴えたい」 と話している.

2020 年 12 月に成立した民法特例法は, 第三者からの精子提供で生まれた人の親子関係は, 治療に同意した夫が父親と定めている. 特例法は規定や制度に関して 「2 年を目処に検討し法制化の措置を取る」 とし, 「出自を知る権利」 も論点の一つとなっている.

超党派の議員連盟が国会で協議を進めているが, 未だ法案は提出されず議論は道半ばだ.

ドナーリンク・ジャパンの調査によると, 海外では, 欧米を中心に英国, オランダ, オーストラリアなど 20 以上の国・地域で出自を知る権利が法律で認められている.

国内で環境整備が進まない背景には, 制度設計の難しさがある.

無精子症の治療を多く手掛けるリプロダクションクリニック (東京・港) の石川 智基医師は 「子の福祉を最優先する出自を知る権利の理解が進むのは前進と考えるが, 匿名を一律になくせばドナーが不利益と捉えて減る可能性もある」 と指摘している.

ドナー側には氏名などの開示によって 「親として扱われる」 事で, 経済的な支援を求められる事などを懸念する声がある.

石川医師は 「血の繋がりを大切にする日本の社会に馴染む制度なのかと言う観点からも, よく議論されなければならない」 とも話す.

AID で生まれた人とドナーの双方が納得出来る制度作りが求められている.

この種の問題は, 単に, 「最大公約数」 を求めれば良い, と言う訳にはいかず, 至難の業と言える.

Have a nice day!
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