(5019) 認知症, イノベーション起せ2023/07/29 02:32

日本医療政策機構シニアマネージャーの栗田 駿一郎氏が以下の様な意見を日経に寄稿している. (以下引用)

「共生社会の実現を推進する為の認知症基本法」 (認知症基本法) が参議院で可決, 成立した.

認知症政策の進展には共生社会とイノベーションの両側面からの進展が重要であるが, 特にイノベーションについては課題が多い.

大きいのは医薬品開発を取り巻く課題だ.

米国では先日, 新薬「レカネマブ」が正式に承認され, 欧州や日本でも年内の承認が期待される. 日本がこうしたイノベーションをどの様に評価するのかに注目が集まっている,

類似薬のない新薬は原価計算方式が取られるが, それでは新たなイノベーションが社会に与える全体的な影響を勘案する事が出来ない.

認知症領域は医療のみならず, 介護やその他のインフォーマルケアコストなど, 与える影響は計り知れない. こうした社会的コストも勘案したイノベーション評価が求められる.

更に, そのイノベーションを生む研究開発の環境整備にも課題がある.

日本が 1 年間で認知症研究に投入する公的資金は, 米国立衛生研究所 (NIH) 予算の 2% 程度に過ぎない.

G7 広島サミットでも首脳宣言に「認知症を抱える人々をケアする為の政策及び資金投入を推進し, 治療薬の開発を歓迎する」と明記されており, 認知症基本法の成立を機にこうした状況の改善も求められる.

一方で, 産業界も社会で評価されるイノベーションを実現する為に取り組むべき事は多い.

先ずは研究開発への患者・市民参画 (PPI) の推進だ. 研究デザイン段階から実際の臨床研究に至るまで, 認知症の人や家族らの参加を積極的に行う事で, 当事者ニーズを踏まえた認知症イノベーションを生み出す事が期待される.

臨床試験情報の収集のし辛さも官民が連携して改善し, 新たに開発したイノベーションが社会にどの様な影響を与えるのかを積極的に開示して行く事も必要だろう.

介護・ケアや金融, 日常生活を支える商品・サービスなど, 広くヘルスケア産業の観点からも当事者ニーズを踏まえた開発・社会実装に期待したい.

認知症基本法の成立を大きな推進力として, 官民の取り組みを迷う事なく進めて行く事が重要だ.

本日のカット写真 : 下平 宏氏フォトギャラリーから (コアsジサシのダイビング)

Have a nice weekend!
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