(5468) マグロの精子作る小型魚 - 成熟期間 6 分の 1 に2024/10/20 02:45

東京海洋大学の吉崎 悟朗教授らは, クロマグロの精子を作るサバ科の小型魚を開発したと言う.

通常, クロマグロが精子を作るには生後 4 年程度を要するが, 開発した魚では誕生から 8 カ月で精子を生み出した.

別種の魚がマグロの精子を作り出した例は初とされ, 迅速な品種改良技術や安価な養殖手法への応用が期待される.

成果を纏めた論文は英科学誌 「ネイチャーコミュニケーションズ」 に掲載されている.

研究チームはサバ科の小型魚 「スマ」 の雑種を作り, 孵化後 9 日目のオスにクロマグロから取り出した精子の素となる 「生殖幹細胞」 を移植した.

水槽で成長させた処, 生後 8 カ月程度でクロマグロの精子を作り出す個体が確認出来た. スマの雑種が作り出したクロマグロの精子は受精する能力を持つ.

一般的に魚の品種を開発する為には 5 世代の交配が必要とされ, クロマグロの場合 15 - 20 年程度掛かる.

新たな技術を用いれば 「精子を早く作れるだけでも, 品種開発期間の短縮は見込める」 (吉崎氏) と言う.

ただ, クロマグロの卵を産むスマの雑種は開発出来ていない.

精子は移植した生殖幹細胞の成分を素に作り出されるが, 卵は母親由来の成分を用いて卵黄や卵膜などを作る為, 親となる個体の影響を受け易く 「精子に比べてハードルが高い」 (吉崎氏).

今後は遺伝的にクロマグロに近い近縁種などを調べ, 代理の親として最適な魚を見付ける.

今後 5 年程度を目処に代理の親魚を用いたクロマグロの誕生を目指すと言う.

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