健康小話

塩野義製薬の手代木 功社長は, 先日, 開発中の新型ｺﾛﾅｳｲﾙｽのﾜｸﾁﾝについて, 条件が揃えば年内の国内供給が可能になる, との見方を電話会見で表明している.

臨床試験 (治験) や承認申請の方法などについて, 国と協議を進めており, なるべく早期に供給を始められるよう目指すとの由.

同社は 2020 年 12 月に国内でﾜｸﾁﾝの治験を開始している.

開発と並行し, 21 年 3 月には協力会社で年 1000 万人分の生産体制を整えた. ただ, 現状では大人数を集める最終段階の治験実施が難しく, 早期開発の壁となっている.

有効な治療法がなく参加者が集まらない場合などに特別に許可される 「条件付き承認制度」 の適用を受ける事で 「最終段階の治験と並行しながら, 実際の投与を進められないか交渉している」 (手代木氏) と言う.

現在, 国産ﾜｸﾁﾝは未だ実用化されていない.

ｺﾛﾅ禍の長期化で安定供給に繫がる国産ﾜｸﾁﾝを求める声は大きい.

同社はまた, 9 月末までに新たなｺﾛﾅ治療薬の治験入りを目指す事も発表している.

既に候補となる化合物を選定済みとの事である.

開発を目指しているのは, ｳｲﾙｽの増殖を阻害する治療薬で, 注射ではなく経口での投与を想定している由.

然し, 詳しい作用の仕組みについては明らかにしていない.

一方, 新型ｺﾛﾅ患者の重症化を抑える同社の別の治療薬候補については, 米ﾊﾞｲｵｽﾀｰﾄｱｯﾌﾟのﾊﾞｲｵｴｲｼﾞが米国やﾌﾞﾗｼﾞﾙなどで高齢者を対象にした治験を進めている.

塩野義は新型ｺﾛﾅの関連事業に注力している.

下水に含まれる新型ｺﾛﾅｳｲﾙｽの量から自治体や施設の感染状況を把握する手法を開発し, 大阪府や大阪市とﾓﾆﾀﾘﾝｸﾞを開始している.

4 月にはｱﾄﾋﾟｰ性皮膚炎向けの検査ｷｯﾄを患者の重症化の予測補助に使える様に厚生労働省に承認申請しているとの由だ.

ﾜｸﾁﾝの内製化もさることながら, 新型ｺﾛﾅｳｨﾙｽは "治療薬" の開発こそが最重要課題であろう.

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