健康小話

大阪大発ｽﾀｰﾄｱｯﾌﾟのｸｵﾘﾌﾟｽは iPS 細胞から作成した心筋ｼｰﾄについて, 早ければ今月中にも厚生労働省に製造販売承認を申請すると言う.

心筋梗塞や狭心症などを治療する.

iPS 細胞由来の医薬品は世界で開発が進むが, 承認申請は初めてで, 認められれば実用化で日本が先行する事になる.

ｸｵﾘﾌﾟｽの心筋ｼｰﾄは心臓の筋肉が上手く働かなくなった 「虚血性心疾患」 の患者に使う.

最高技術責任者 (CTO) でもある大阪大学の澤 芳樹特任教授が長年研究を進めていた. iPS 細胞は京都大学 iPS 細胞研究所 (CiRA) から提供を受ける.

大学病院を中心とした医師主導の臨床試験 (治験) で, 患者 8 人に iPS 細胞由来の心筋ｼｰﾄを移植した. 結果は何れも良好で, 心臓機能が大幅に改善した事例も報告されている.

虚血性心疾患は悪化すると, 心臓移植や補助人工心臓の処置しかない. 心筋ｼｰﾄは, 移植手術より患者の負担が軽く, 手術時間も短くて済む.

政府は 14 年に再生医療の普及を目的に, 「条件及び期限付き承認制度」 を設けている. 治験参加者の数が少なくても, 有効性が推定されれば, 早期に承認を受けられる.

ｸｵﾘﾌﾟｽ はこの制度を活用する考えで, 条件付き承認は 「仮承認」 の位置付けだが, 承認されれば健康保険が適用される見通し.

ｸｵﾘﾌﾟｽの草薙 尊之社長は 「25 年の仮承認取得を目標としている」 と話している.

iPS 細胞を活用した医薬品は国内外で研究開発が進められている.

海外では米ﾌｪｲﾄ･ｾﾗﾋﾟｭｰﾃｨｸｽが, 癌や免疫疾患向けに, 豪ｻｲﾅｰﾀ･ｾﾗﾋﾟｭｰﾃｨｸｽは移植時の拒絶反応を防ぐ治療薬で治験を行っている.

国内でも住友ﾌｧｰﾏなどがﾊﾟｰｷﾝｿﾝ病や網膜疾患の治療について実用化を目指している.

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