健康小話

国立がん研究ｾﾝﾀｰは, 微小な膵臓癌を見付け出す新たな画像診断技術の臨床試験 (治験) を開始したと言う.

1 ｾﾝﾁﾒｰﾄﾙ未満の小さな腫瘍の検出を目指し, 膵癌の早期発見に役立つ可能性がある.

膵臓は胃の後ろにある臓器で, 食べ物を消化する酵素や血糖値を下げるｲﾝｽﾘﾝなどを分泌する. 膵癌は難治性で 5 年生存率が約 13% と低いが, 早期に発見して治療出来れば, 生存率は 5 割程度まで高まる.

現状, ｺﾝﾋﾟｭｰﾀｰ断層撮影装置 (CT) や超音波内視鏡などの検査が一般的だが, 1 ｾﾝﾁﾒｰﾄﾙ未満の小さな腫瘍を見付ける事は難しい.

初期の膵癌は自覚症状も殆どない為, 手術が難しい段階にまで進行する患者が少なくない.

研究ﾁｰﾑは膵癌の癌細胞表面にある蛋白質 「EGFR」 だけに強く結合する抗体を使って, 陽電子放射断層撮影装置 (PET) 検査に応用出来る薬剤を開発した.

ﾏｳｽで実験した処, 従来の PET 検査では捉えられなかった 3 ﾐﾘﾒｰﾄﾙの微小な膵癌を検出出来た. また, ｻﾙなどの動物実験で安全性も検証し, 治験を始める.

第 1 段階の治験は膵癌と強く疑われる患者 7 - 18 例で実施し, 2025 年 9 月までに完了する予定と言う. 開発した薬剤のﾋﾄでの安全性や第 2 相治験に向けた投与量などを検討する.

同ｾﾝﾀｰ中央病院の肱岡 範医長は 「微小な腫瘍の発見は検査担当者の経験や技術に依存していた. 新たな検査法が開発出切れば, 診断技術の均てん化 (標準化) にも繋がる」 と話している.

転移した癌細胞の発見にも役立つ可能性があると言う.

将来的には治療薬として応用する治験も実施したい考えとの由.

薬剤に含まれる銅の放射性同位体は癌の検出用だけでなく, 癌細胞に対して放射線を発して攻撃出来ると言う研究もあると言う.

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