健康小話

東京大学の池谷 裕二教授らは, 一定の訓練をすれば意図的に心拍数を低下させられる仕組みを解明したと言う.

ﾗｯﾄを用いた研究で, 脳の感情や意思決定に関わる部位が特殊な神経活動をすると, 睡眠時よりも低い心拍数を実現出来, 不安の改善などが見られた.

心臓の拍動は無意識に活動し続け, 運動や緊張などに応じて自動で心拍数が調節される.

意識によらず制御されるが, ﾖｶﾞや瞑想をする人や, ﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞや射撃などのｽﾎﾟｰﾂ選手の中には, 訓練によって意図的に心拍数を低下させる技術を習得した人が存在している.

近年では測定機器を通じて自身の心拍数を認識出来る様にすると, 意図的に心拍数を増やしたり, 減らしたり出来る事が分って来た.

この現象は 「ﾊﾞｲｵﾌｨｰﾄﾞﾊﾞｯｸ」 と呼ばれる.

これまで, 実験動物でﾊﾞｲｵﾌｨｰﾄﾞﾊﾞｯｸを再現する事が難しく, 詳しい仕組みは分っていなかったが, 研究ﾁｰﾑはﾗｯﾄで検証出来る実験手法を確立した.

実験ではﾗｯﾄが意図的に心拍数を落す様にした. 脳のひげの感覚と快楽に関わる部位に神経細胞を刺激する電極を取り付け, 目標とする低い心拍数に近づくにつれ, ひげに関わる脳部位を刺激する様にした.

目標心拍数を一定時間維持すると, 快楽を感じる刺激を与える事によって, ﾗｯﾄが自ら好んで心拍数を落す様になった.

成果を纏めた論文は米科学誌 「ｻｲｴﾝｽ」 に掲載された.

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