「血液サラサラ」は血液の健康度?2010/11/09 03:14

最近は 「サラサラ血液」 と言う言葉を時折耳にする.

血管内を血液がスムーズに流れている, 如何にも健康な人の血液をイメージさせる.

反対に 「血液ドロドロ」 と言うと, 不健康な人の血液を想起させる.

然し, 臨床血液学の大家である中村 寿彦先生 (元杏林大学保健学部教授) は,「これはマスコミによって広められた誤ったイメージであり, 本来の血液の姿からは懸け離れたものである」 と言っている.

赤血球は生理的に変形能を有しているので, 体中至る所に存在している毛細血管の隅々まで, 酸素や栄養分を届ける事が出来る訳である.

が, この赤血球の変形能や白血球粘着能と, 血液中成分の流動性との関係は, 医学的に証明されてはいない, と中村先生は断言しておられる.

健康な血液と言えども, 液体として見た場合, 本来自力で血管内を流れる事が出来ないほどドロリとした粘度であり, 血管内をサラサラ流れたりしたら, 寧ろ, その方が不健康な状態である事を示している, との事.

一方, 「血液ドロドロ」 と言うイメージからは, 血液中に溶けている脂肪分やコレステロールがベトベトになているかの様な印象を受ける.

が, 実際は, 血液中の脂肪分は蛋白質のカプセルに入った状態 (リポ蛋白) で循環しているので, 脂肪分で血液がベトベトになる様なことは, これまたあり得ないのであるそうだ.

敢えて言うならば, 「サラサラ血液」 は "貧血症" を, 「ドロドロ血液」は "多血症" を意味すると考えた方がより実態に近い, と中村先生は指摘している.

貧血症には, 強い放射線や薬剤など何らかの原因で, 骨髓での血球再生能力が造血幹細胞の段階で失われた状態である "再生不良性貧血", 極端な栄養失調や慢性的な消化管などからの出血, 鉄欠乏性貧血, などの疾患を言う.

また, 多血症と言う場合は, 赤血球や血小板などの血球が生理学的な基準範囲よりも多過ぎる状態で, 赤血球増加症, 血小板増加症, 慢性骨髓性白血病, などを意味し, 血球数が過剰なため, 毛細血管における血液の流動抵抗が大きくなるのである. 従って, 血球の変形能が低下する訳ではないのだそうだ.

中村先生の説を私なりに結論すると, 血液サラサラになると言う宣伝文句を使用しているサプリメントや健康食品があれば, 購入する前に, 一寸待てよ、と 「その意味する内容を良く吟味する」 事が賢明な消費行動と言える.

昨今, 健康食品やサプリメントの信者の人がかなり見受けられるが、広告文や宣伝文句の 「行間」 を読むのではなく, 具体的に何を言っているのか? 良く確認してから購入すべきであろう.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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