米山 公啓 著 「認知症は予防できる」 (ちくま新書) から (4) - 22010/11/19 02:47

・ 最も厳しい選択

やがて, 認知症患者が食事を摂れなくなった時, 厳しい選択が求められる事になるのである.

ヨーロッパでは, 高齢者に延命のために, 胃に管を入れる様な医療行為は殆ど行わない.

然し, 日本では, 食事が摂れなくなったり, 飲み込みが上手く出来なくなると, 医療側が誤嚥性肺炎を怖がって, 鼻から管を入れるか, 胃に穴を開け, そこから管を入れて栄養分を流し込む医療処置 (胃瘻) が行われる.

然し, 胃瘻であれ, 鼻からの経管チューブであれ, こう言った栄養を入れるルートを確保すれば, 介護は長期戦になる事を覚悟しなければいけないのである.

認知症の末期になれば, 勿論, 本人の意思を確認する事は出来ない.

それが癌の末期とは大きく違う事であり, 癌末期患者では, 長期戦になることは少ない. 癌末期だと長くて数ヶ月で亡くなって行くので, 所謂, ホスピスの様な所での最後には, それなりの意味があると考えられる.

それに対して, 認知症末期の患者では, そこから数年, 長いと 10 年などと言う事があり得るのである.

肺炎を起さない限り, 寝たきりの状態が延々と続く事になるのである.

だからこそ, 先を考えた上で, 延命治療をするか決めておくべきであるし, 決めたのであれば, その意見をはっきり主治医に言っておくべきである, と著者の米山先生はアドバイスしている.

日本での認知症の末期医療では, きちんと決まりがある訳でもなく, 非常に曖昧のまま医療, 介護が行われているのが現状であろう.

家族が一切拒否すれば, 何もしないと言う選択も有り得るが, これはなかなか出来る選択ではない.

然し, ただただ延命させる事は, 家族にとって満足できる介護とは違う, と言う事を知っておくべきだろう.

・ 最後を決めておくべき

認知症を発症した時, そんな最期の事まで考える事は難しいかもしれないが, 認知症は治る事のない病気だと理解できれば, 末期を考えねばならない筈だ.

つい患者に同情して, 蘇生を行い, 人工呼吸器を繋いでしまうと, 心臓が止まらない限り, ずっとその状態が続く事になる.

初めの内はいいが, 毎月, 膨大な医療費が掛かり, 次第に経済的にも家族を苦しめる事になる.

認知症は介護も非常に大切だが, 最期をどうするのかを考えておく事も同様に重要なのだ.

・ 記憶力を良くするには如何すればいいか?

高齢者では, 太り過ぎている人が, カロリー制限をすると, 記憶力が改善される. その改善度も厳密にダイエットした人ほど大きい.

また, 血糖値は加齢によって上昇傾向があるが, この血糖値をきっちり下げると, 記憶力が改善する.

詰り, 年齢的な変化による記憶力の低下を防ぐ事が出来る.

一方で, 若い女性で時々見られるダイエット法として, 低炭水化物ダイエットと言うのがあるが, 或る研究では, 炭水化物摂取を維持しながらカロリーを制限するバランスのいいダイエットに較べて, 低炭水化物ダイエットの場合, 記憶力が低下する事が判っている.

想像以上に, 炭水化物, 即ち, 脳へ行くブドウ糖の低下が記憶力に影響すると言う事であろう.

また, コーヒー 2 杯分のカフェインによって, 短期記憶が改善する事も報告されている.

コーヒーカップ 2 杯分に相当する 100 mg のカフェインを投与すると, 脳の前頭葉と前歯帯の活動が活発になって, 短期記憶テストの成績がよくなる事が判ったのである.

他にも, マウスの実験ではあるが, チョコレート, 紅茶などに含まれるフラボノイドを与えると, 空間記憶の保持を強くする事が報告されている.

これは海馬の神経細胞を活性化する事が影響している様だ.

記憶力に影響するものが色々判って来ている.

記憶力アップのドリルなど直ぐ想像してしまうが, それより, 食事や運動と言う事にもっと注目すべきではないだろうか, と米山先生は言う.

覚えた事を忘れ難くする方法がある.

それは, 繰り返す事, 感情に結び付ける事, 覚えるという意識をしっかり持つ事, である.

人間は自分の興味を持てることに関しては, 異常な能力を発揮できると言う事だ.

先ずは自分が何に一番興味を持てるか, それを探せれば, あなたも驚異的な記憶力を発揮出来るかも知れない.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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