米山 公啓 著 「認知症は予防できる」 (ちくま新書) から (7) ― 2010/11/25 03:07
最終の第 7 章では, 認知症も, 漸く治せる時代が見えて来ている事を展望している.
･ 唯一使えるｱﾘｾﾌﾟﾄ
ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病になると, 脳内の神経細胞が情報伝達に使っている "ｱｾﾁﾙｺﾘﾝ" と言う物質が減少する.
これが減少すれば, 正に脳内は油切れの状態となる.
このｱｾﾁﾙｺﾘﾝの減少を防げば, 認知症の症状を軽減できる.
その為には, ｱｾﾁﾙｺﾘﾝを分解する "ｱｾﾁﾙｺﾘﾝｴｽﾃﾗｰｾﾞ" と言う酵素の働きを抑えてしまう必要がある.
その酵素の働きを抑えるのが, 「ｱﾘｾﾌﾟﾄ (塩酸ﾄﾞｷﾍﾞｼﾞﾙ)」 と言う薬である. ｱﾘｾﾌﾟﾄを使用すると, ｱｾﾁﾙｺﾘﾝの分解を抑える事で神経細胞間の伝達がｽﾑｰｽﾞになり, 症状の悪化を遅らせる事が出来る.
ｱﾘｾﾌﾟﾄは早期に投与すれば効果があり, ｱﾙﾂﾊｲﾏｰが進行しても, ある程度効果が期待出来る薬である.
確かに, 3 割以上の患者さんで何らかの改善が見られた, と著者は自らの治験をもとに述べておられる.
然し, ｱﾘｾﾌﾟﾄで症状が改善するにしても, ｱﾘｾﾌﾟﾄは高価なため (3 割負担で, 1 日 10 mg, 28 日分で 6990 円), 老人保健施設では投薬をやめてしまう事がある.
投薬すれば症状の改善が明らかでも, 投薬していないｹｰｽもある.
今の老人医療では, 効果があっても使えなかったり, 高価なために薬が手に入らないと言う事が起きているのだ.
･ 認知症の病型によって違うｱﾘｾﾌﾟﾄの使い方
ﾚﾋﾞｰ小体型では, ｱﾘｾﾌﾟﾄに対して過敏に反応する可能性があるので, 少量の 1 mg 以下からｽﾀｰﾄして, 症状の改善を見ながら, 適切な量を探す.
個人によって効果の度合いなど異なるため, 10 mg 使用で効果があったと言う報告もある.
･ ｱﾘｾﾌﾟﾄの副作用
どんな薬でも副作用のないものは少ないが, ｱﾘｾﾌﾟﾄの副作用として多いのは, 食欲不振, 胃腸障害, 便秘, 下痢, 便失禁などである.
使用時, これらの副作用が出たとしても, 必ずしも投薬中止にはならない. 患者さんの症状の改善と副作用の程度を見ながら使って行く事になる.
･ 薬以外の治療の可能性
1) 音楽療法
2) 美術療法 (絵画療法)
3) ﾊﾞﾘﾃﾞｰｼｮﾝ (Validation) :
見当識障害や認知機能を改善させるものではなく, 認知症の患者さんが一生懸命に生きている事に共感し, 言葉に本気で耳を傾け, 同意する行為を指す.
更に, 認知症の患者さんの言葉を繰り返す, しっかり目を見て話す, 肩や手に触れ, 昔話を刷るなどのﾃｸﾆｯｸによって, 自尊心の快復, ｽﾄﾚｽや不安の軽減を図る方法である.
このﾃｸﾆｯｸは, 医師だけでなく, 介護施設で働く人や家族が簡単に習得できるところが優れている.
なお, このﾊﾞﾘﾃﾞｰｼｮﾝ･ﾃｸﾆｯｸについては, もう少し詳しく, 以前本欄でも紹介している. 興味のある方はﾊﾞｯｸﾅﾝﾊﾞｰを参照して戴きたい.
認知症患者に一人の人間として尊厳を持って接すると言う姿勢は大切である.
4) ｱﾆﾏﾙ･ｾﾗﾋﾟｰ (ﾍﾟｯﾄ療法)
5) 回想法 :
患者さんも昔話を積極的にさせるもので, 過去の記憶に関係するものを使い, ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝを図って行く.
6) ﾘｱﾘﾃｨｰ･ｵﾘｴﾝﾃｰｼｮﾝ (現実見当識訓練) :
時間と場所の関係をしっかり思い出させる, 或いは再認識させる方法.
「今は何処に居るのか?」 「今日は何日か?」 などの質問を繰返し, 時間や場所を意識させ, 対人関係や協調性を取戻させて, 未だ残っている脳の機能を使わせる事で, 進行を遅らせようとするもの.
認知症ももう少しで治療可能な時代を迎えようとしている.
ただその場合にも脳の機能がある程度残っていなければいけない.
認知症を予防するための生活習慣などが判明して来ており, 今後も様々な知見が発見されて行くだろうし, 予防のために努力する事は決して無駄ではないだろう.
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はり・きゅう・ﾏｯｻｰｼﾞ トミイ
http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)
心や身体に関する悩み事など, お気軽にご相談下さい.
E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp
English speaking clients are welcomed!
Oil massage is available!
･ 唯一使えるｱﾘｾﾌﾟﾄ
ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病になると, 脳内の神経細胞が情報伝達に使っている "ｱｾﾁﾙｺﾘﾝ" と言う物質が減少する.
これが減少すれば, 正に脳内は油切れの状態となる.
このｱｾﾁﾙｺﾘﾝの減少を防げば, 認知症の症状を軽減できる.
その為には, ｱｾﾁﾙｺﾘﾝを分解する "ｱｾﾁﾙｺﾘﾝｴｽﾃﾗｰｾﾞ" と言う酵素の働きを抑えてしまう必要がある.
その酵素の働きを抑えるのが, 「ｱﾘｾﾌﾟﾄ (塩酸ﾄﾞｷﾍﾞｼﾞﾙ)」 と言う薬である. ｱﾘｾﾌﾟﾄを使用すると, ｱｾﾁﾙｺﾘﾝの分解を抑える事で神経細胞間の伝達がｽﾑｰｽﾞになり, 症状の悪化を遅らせる事が出来る.
ｱﾘｾﾌﾟﾄは早期に投与すれば効果があり, ｱﾙﾂﾊｲﾏｰが進行しても, ある程度効果が期待出来る薬である.
確かに, 3 割以上の患者さんで何らかの改善が見られた, と著者は自らの治験をもとに述べておられる.
然し, ｱﾘｾﾌﾟﾄで症状が改善するにしても, ｱﾘｾﾌﾟﾄは高価なため (3 割負担で, 1 日 10 mg, 28 日分で 6990 円), 老人保健施設では投薬をやめてしまう事がある.
投薬すれば症状の改善が明らかでも, 投薬していないｹｰｽもある.
今の老人医療では, 効果があっても使えなかったり, 高価なために薬が手に入らないと言う事が起きているのだ.
･ 認知症の病型によって違うｱﾘｾﾌﾟﾄの使い方
ﾚﾋﾞｰ小体型では, ｱﾘｾﾌﾟﾄに対して過敏に反応する可能性があるので, 少量の 1 mg 以下からｽﾀｰﾄして, 症状の改善を見ながら, 適切な量を探す.
個人によって効果の度合いなど異なるため, 10 mg 使用で効果があったと言う報告もある.
･ ｱﾘｾﾌﾟﾄの副作用
どんな薬でも副作用のないものは少ないが, ｱﾘｾﾌﾟﾄの副作用として多いのは, 食欲不振, 胃腸障害, 便秘, 下痢, 便失禁などである.
使用時, これらの副作用が出たとしても, 必ずしも投薬中止にはならない. 患者さんの症状の改善と副作用の程度を見ながら使って行く事になる.
･ 薬以外の治療の可能性
1) 音楽療法
2) 美術療法 (絵画療法)
3) ﾊﾞﾘﾃﾞｰｼｮﾝ (Validation) :
見当識障害や認知機能を改善させるものではなく, 認知症の患者さんが一生懸命に生きている事に共感し, 言葉に本気で耳を傾け, 同意する行為を指す.
更に, 認知症の患者さんの言葉を繰り返す, しっかり目を見て話す, 肩や手に触れ, 昔話を刷るなどのﾃｸﾆｯｸによって, 自尊心の快復, ｽﾄﾚｽや不安の軽減を図る方法である.
このﾃｸﾆｯｸは, 医師だけでなく, 介護施設で働く人や家族が簡単に習得できるところが優れている.
なお, このﾊﾞﾘﾃﾞｰｼｮﾝ･ﾃｸﾆｯｸについては, もう少し詳しく, 以前本欄でも紹介している. 興味のある方はﾊﾞｯｸﾅﾝﾊﾞｰを参照して戴きたい.
認知症患者に一人の人間として尊厳を持って接すると言う姿勢は大切である.
4) ｱﾆﾏﾙ･ｾﾗﾋﾟｰ (ﾍﾟｯﾄ療法)
5) 回想法 :
患者さんも昔話を積極的にさせるもので, 過去の記憶に関係するものを使い, ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝを図って行く.
6) ﾘｱﾘﾃｨｰ･ｵﾘｴﾝﾃｰｼｮﾝ (現実見当識訓練) :
時間と場所の関係をしっかり思い出させる, 或いは再認識させる方法.
「今は何処に居るのか?」 「今日は何日か?」 などの質問を繰返し, 時間や場所を意識させ, 対人関係や協調性を取戻させて, 未だ残っている脳の機能を使わせる事で, 進行を遅らせようとするもの.
認知症ももう少しで治療可能な時代を迎えようとしている.
ただその場合にも脳の機能がある程度残っていなければいけない.
認知症を予防するための生活習慣などが判明して来ており, 今後も様々な知見が発見されて行くだろうし, 予防のために努力する事は決して無駄ではないだろう.
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http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)
心や身体に関する悩み事など, お気軽にご相談下さい.
E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp
English speaking clients are welcomed!
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