(2620) 悪玉菌を狙い撃ち - 整腸 「抗体」 発見2017/04/29 02:22

大腸菌などの悪玉菌だけを捕らえて増殖を抑え, 善玉菌はそのままにして腸内環境を整える 「抗体」 を, 奈良先端科学技術大学院大 (奈良県生駒市) の新蔵 礼子教授 (免疫学) らのチーム がマウスで発見している.

下痢や下血, 体重減少を引き起こす 「潰瘍性大腸炎」 などの炎症性腸疾患の治療法開発に繋がると言う.

チームは, マウスの腸内にある抗体のうち, 多くの種類の腸内細菌に結合する 「W27Ig 抗体」 と呼ばれるタイプに注目したのである.

この働きを調べると, 大腸菌などの悪玉菌と強く結合して増殖を抑える一方, ビフィズス菌や乳酸菌の様な善玉菌には殆ど結合しなかった.

この抗体を水に混ぜ, 潰瘍性大腸炎と似た炎症を人工的に起こしたマウスに 4 週間飲ませると, 飲ませなかったマウスよりも体重の減少が抑制され, 腸の損傷も軽くなった.

抗体は, 細菌が持つ一部の物質の違いを見分けて, 悪玉か善玉かを識別していた事が判明したのである.

炎症性腸疾患には, 何れも難病で詳しい原因が分っていない "潰瘍性大腸炎" と "クローン病" がある.

新蔵教授は, 今後, 人への応用に向けた研究を進め, 「症状を抑えるだけの従来の薬と異なり, 腸内環境を整える事で病気を根本的に治す新薬の開発に繋げたい」 とコメントしている.

ご承知の様に, 我々の腸内には, 数百種, 600 兆個以上の細菌が棲んでいると言う.

特に, 小腸から大腸にかけて, これらの様々な細菌が種類ごとにグループを形成して纏まり, 腸の壁面に棲んでいるのであるが, 顕微鏡で腸の中を覗くと, それらはまるで植物が群生している 「お花畑 (flora)」 の様に見える事から, 『腸内フローラ』 と呼ばれている.

腸内細菌の種類や数は, 食事や生活習慣・人種・年齢などにより異なるため, 『腸内フローラ』 も人それぞれ違っている.

体に良い働きをする 『善玉菌』 で代表的なのは, "乳酸菌" と呼ばれる, フェーカリス菌やアシドフィルス菌, ビフィズス菌などである.

悪玉菌の侵入や増殖を防いだり, 腸の運動を促したりする事によって, お腹の調子を整えて呉れる.

一方, 体に悪い働きをする 『悪玉菌』 は, ウェルシュ菌や病原性大腸菌, 黄色ブドウ球菌などで, 腸内で有害物質を作り出す.

悪玉菌が増えると, 便秘や下痢などお腹の調子が悪くなる事もある.

また, どちらにも属さない 『日和見菌』 も存在しており, 腸内の善玉菌・悪玉菌の, どちらか優勢な方に同調 (味方) して作用する事からこう呼ばれる.

『腸内フローラ』 は, 善玉菌 2 割, 悪玉菌 1 割, 日和見菌 7 割の比率で存在するのが理想的な状態とされていて, 腸内環境をこのバランスに維持する事が大切なのである.

健康な人の腸内では, 善玉菌が悪玉菌の定着・増殖を抑えているのであるが, 善玉菌には, 有害物質を体外に排出するのを助けたり, 免疫細胞を活性化したりするなどの作用も有している.

けれども, この 『腸内フローラ』 のバランスは, 体調・食生活・年齢・ストレス・薬 (抗生物質など) の服用といった, 様々な要因によって日々変化している.

何らかの原因で, 腸内の悪玉菌が優勢になると, 結果として, 悪玉菌が作り出す有害物質が増加し, 便秘や下痢などお腹の調子を悪くするのみならず, 腸から吸収されて全身を廻り, 様々な生活習慣病や肌荒れ, 肩凝り, 老化などにも関係すると言われている.

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