健康小話

野生のﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰも人間と同様に閉経し, その後も相当の期間生き続ける事が分った, と米ｶﾘﾌｫﾙﾆｱ大などのﾁｰﾑが米科学誌ｻｲｴﾝｽに発表している.

ｱﾌﾘｶのｳｶﾞﾝﾀﾞで 21 年間観察した成果で, 閉経は, ｼｬﾁなど海の哺乳類の一部にあり, 霊長類では飼育下と言う特殊な環境でﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰにも見られるが, 基本的には人間だけとされていた.

閉経は, 生殖の機会を巡って自分の娘と競合する事が避けられ, 孫の世話に力を振り向ける事で, 孫が生き残る確率が高まる為, 進化の過程で獲得されて来たとする 「おばあちゃん仮説」 が有名だ.

然し, ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰのおばあちゃんは子育て中の娘と一緒に暮したり孫を世話したりはしないと言い, 閉経の意味合いについて再検討を迫る結果となった.

ﾁｰﾑは雌のﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰ 185 匹を観察. 繁殖活動は 30 歳過ぎから減り, 50 歳までになくなった.

大人になってからの時間の内, 20% は生殖と無関係で, この割合は人間で 40% 前後, ｼｬﾁで 30% 程. 他の哺乳類では生殖の終りと死は略同時だった.

また 14 - 67 歳の 66 匹の尿を集めて分析すると, 50 歳頃から人間の女性の閉経時と同じ様なﾎﾙﾓﾝの量の変化が起きている事が分った.

閉経後の雌の役割としては, 餌場の知識と経験を生かして群れを率いるｼｬﾁの例が知られているが, ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰの雌の役割を知るには, 更に研究が必要だと言う.

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