(5146) 目薬で近視の進行抑制! - 細胞内のストレス解消2023/12/03 01:04

慶応義塾大学の研究成果がもとになった, 近視の進行を抑える目薬の候補薬が, 間もなく臨床試験 (治験) に入ると言う.

細胞内に不良品の蛋白質が溜まって生じるストレスを緩和する, 新しい仕組みの薬で, 日本発の技術として注目される.

近視は目の前から後ろまでの長さが伸びてしまう事で起る進行性の病気であるが, ずっと近くを見ていると目が伸び易くなり, 網膜の上でピントが合わなくなる.

スマートフォンやタブレット端末などの普及で近視の人は急増している.

2010 年には世界で 20 億人弱だったが, 2050 年には世界人口の半分に当る 50 億人程度まで増えると試算されている.

また, 都内の中学校では 95% の生徒が近視だったとの調査もある.

慶応大はマウスの実験などを通じて, 近視になると, 目の最も外側にある強膜の細胞に蛋白質の不良品が溜まって 「ストレス」 が掛かる事を発見した.

ストレスで強膜が薄くなり, 目が伸びて, 近視が進む.

本来, 細胞にある小胞体と言う器官が, 蛋白質の不良品を修復したり, 除去したりする機能を持つ.

これは 「小胞体ストレス応答」 と呼ばれ, ノーベル生理学・医学賞の有力候補とされる京都大学の森 和俊教授が解明した.

慶応大は小胞体ストレス応答を調節する薬剤で近視の進行を抑え様とした.

注目したのは, 体内で毒素のアンモニアを上手く取り除けない 「尿素サイクル異常症」 の治療薬として承認されている薬剤だ.

この薬剤は蛋白質の不良品を減らす効果があり, 近視にしたマウスに点眼すると, 目の前から後ろまでの長さの伸長が抑えられた.

ストレスが軽減した結果, コラーゲンの産生が維持され, 強膜の硬さや厚さが適切に保たれたと考えられる.

国内では慶応大発スタートアップの坪田ラボ (東京・新宿) とロート製薬が共同で開発を進め, 治験を計画している.

近視進行抑制を巡っては, 目の検査などに使う薬剤 「アトロピン」 を低濃度にした目薬を処方する病院もある. 近視進行抑制の目的では未承認で, 全額自己負担だ.

アトロピンは瞳孔を大きくする作用と, ピントを調節する筋肉を休ませる作用があり, 目の検査の他, 弱視や虹彩炎の治療にも使われる.

ただ, 近視抑制の有効性について, 研究者によって見解が分れると言う.

米国立衛生研究所 (NIH) は 7 月, 0.01% のアトロピン点眼薬には近視を抑制する効果がないとする論文を発表した.

軽度から中度の近視の 5 - 12 歳の子供 187 人をアトロピンと偽薬を点眼する 2 グループに分け, 2 年間毎晩使用させた. 然し, 進行抑制には差が見られなかった.

一方で, 米オハイオ州立大は 6 月に発表した論文で, 3 年間の治療で近視の進行を抑制したと報告した.

香港中文大学の 3 月の論文では, 0.05% のアトロピンを毎晩 2 年間点眼したグループは, 近視発症率が低かった.

見解が分れる理由については, 各臨床研究で年齢や近視の有病率などの条件が揃っていない事が影響している可能性がある.

参天製薬は低濃度アトロピンを使いつつ, 副作用を抑えた目薬を開発中で, 目の伸長を抑える効果だけが出る様にし, 瞳孔を開く機能を抑えた. 5 月に第 2 段階の治験を始めている.

近視進行抑制の目薬は承認された場合に, 総ての患者に保険が適用されるか現時点で分らない.

近視は多くのケースで高校生位まで進行する. 一定期間, 点眼を続ける必要があるかもしれない.

Have a nice weekend!
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