(5573) 心不全の再発予防, 遺伝子検査で2025/02/02 01:21

日本に約 120 万人の患者がいる心不全の再発を遺伝子検査で防ぐ取り組みが始まる.

患者一人ひとりの遺伝子の変異を調べる 「ゲノム医療」 を実施して早期に投薬や処置をする.

日本循環器学会が 3 月に改訂するガイドライン (指針) に盛り込む. 患者数が多い病気では癌に続く取り組みで, 普及すれば患者の余命延長や生活の質の改善に繫がる.

心不全は全身に血液を送る心臓の機能が低下して息切れや体の浮腫みが生じる. 一度発症すると再発を繰り返しつつ, 心臓の機能が徐々に下がる.

患者は何度も入院し, 病気が進むと命に関わる. 心臓の血管が狭くなる虚血性心疾患や高血圧が招く高血圧性心疾患, 4 つの弁のどこかに異常が起きる弁膜症など様々な病気が心不全を引き起す原因になる.

日本人の死因で癌の次に多い心疾患の中で 4 割を占める. 40 歳以上の 5 人に 1 人が発症し, 患者の半数が 5 年以内に亡くなる.

神経の働きを抑えたり血管を広げたりして心臓の負担を減らす薬などを使い, 再発の予防や症状の改善を目指す.

近年, 遺伝情報を高速で読み取る装置の次世代シーケンサーが医療研究の現場に広がり, 心不全患者の 2 - 3 割程で病気を起す遺伝子の変異が見付かる様になった.

心不全の原因になる遺伝子の変異は 100 - 200 個程度とされる.

東京大学の野村 征太郎特任准教授は 「遺伝子の変異から病気の進行を予測すれば, 早期に的確な投薬や処置を施せる」 と話す.

例えば心臓の壁が薄くなる拡張型心筋症に関わる遺伝子の変異がある患者には, 心臓が細かく震えるのを防ぐ機器を体内に埋め込んで急に心臓が止まるのを防げる.

また異常な蛋白質が溜まって心臓が肥大する病気に関わる遺伝子に変異がある場合などは医薬品を使い, 再発や症状の進行防止を目指す.

心不全のゲノム医療は日本で 2013 年頃に基礎研究の一環として始まった.

現在は全国の 30 - 40 の病院が患者から採取した血液を東京大学医学部付属病院 (東京・文京) と国立循環器病研究センター (大阪府吹田市) に送り, 両施設で遺伝子を解析して結果を主治医に伝えている.

当初は細い管を血管に入れて心臓を調べるカテーテル検査などの精密検査を経た上で, 難病の心筋症と診断された患者の遺伝子変異だけを調べていた. だが 「遺伝子の変異を調べると, 多くの心不全患者で投薬や処置の効果や重症になる可能性を予測出来ると分って来た」 (野村特任准教授).

そこで日本循環器学会は 3 月に改訂する心不全の診療に関わる指針に, 幅広い患者が遺伝子検査を受ける様に勧める内容を盛り込む. 心不全の原因になる遺伝子の変化を網羅的に調べる.

指針の改訂により, 心不全の患者には遺伝子検査を念頭に置いた診療が推奨される様になる.

日本循環器学会が指定する循環器の専門的な診療を受けられる全国 1000 カ所以上の病院に心不全のゲノム医療を広げる事を目指す. 実現すれば最先端の医療に取り組む大学病院だけでなく, 地方の市立病院などでも遺伝子検査を受けられる様になる.

課題も残る. 当面は東大などが解析作業を担う可能性が高いが, 中長期的には担当する機関を増やす必要がある.

検査費用の財源も要る. 東大病院などが自前の研究費で検査して来たが, 普及を促すには国の保険を使える様にする必要がある.

既に癌の治療では 100 - 数百個程度の遺伝子を調べる検査が国の保険で使える.

本日のカット写真 : 下平 宏氏フォトギャラリーから (じゃれ合う大白鳥)

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