胎教と気玉2009/11/07 13:44

東洋では, 古く中国前漢時代劉向の 『烈女伝』 を初めとし, 幾つかの書物に胎教に関する記述が残されている.

『烈女伝』 には, 周国文王の母親である太任が行った胎教について, 次のような趣旨の記載がある.

「太任の性分は淑やかで一様で, 念入りで, 荘重にして, ただ徳行をしている途中に妊娠をした. 目では悪い色を見ることなく, 耳では淫蕩な音を聞かず, 傲慢なもの言いもせず, 胎教をよく実践した」 と.

一方, 西洋では, 旧約聖書やヒポクラテスの記録などに胎教についての言及があるが, 胎教が科学の研究対象になったのは 19 世紀以後である.

ハヴェロック・エリス (1926) は母側印象、即ち妊婦の心を感動させる強烈な心的印象が胎児に重要な影響を与えるという研究を発表した.

その後, これを裏付ける様な研究も幾つかなされている. 例えば, 妊娠を喜んでいない妊婦は嬉しく思う妊婦より, 悪阻と嘔吐が酷いと言う研究結果をロボストンが報告している.

この様に, 妊娠中の母親の生活環境や精神状態が, 胎児の心の発達に影響を与えると言う胎教の考え方は, 中国の古い教えに由来している.

胎教が果して胎児に直接的な影響を及ぼすのか否かは, 未だ論難の余地もあるが、今日まで胎教は様々な形で行われている。

胎児の脳の発達は, 妊娠 5 ヵ月の終りには未熟ながらも略完成していると言われている.

従って妊娠後期になると, 母親の行動, つまり呼吸や散歩と言った事も羊水中の胎児の脳を適度に刺戟している事になる.

母親が興奮したり, 怒ったりして, 呼吸が速くなったり, 甲高い声で叫んだり, 激しく動いたりすると, それが即胎児に伝わり, 不安と言うストレスを与える結果となる.

逆に, ゆったりとした音楽を聞いたり, 穏やかな気持ちで散歩をしたり, 夫との和やかに会話を交す, などは胎児にも同じように心地よい刺激となる.

一方, 耳から入る聴覚機能も脳と同様発達が早く, 妊娠 5 ヵ月後半には僅かながら反応する様になる.

体外からの様々な音声は耳から脳へ刺激され反応するのである. 最近は超音波などで胎児が体外からの刺激に反応する動きが確認出来る様になっているが, 産まれたばかりの赤ちゃんが母親の声を識別出来るのも, この様な胎内経験に因るのである.

妊娠中の母親が絶えず苛々したり, 情緒が不安定だったりすると, 生まれて来た赤ちゃんも情緒不安定になり易いのはこの様な理由による. 母親と赤ちゃんは正に一心同体なのである.

特に, 脳が発達してくる妊娠 5 ヶ月ごろから, 美しい絵画に触れたり, 素晴しい旋律の音楽を聞いたり、母親が優しく胎児に語りかけて, 自分の声を聞かせるなど, この時期によい母子関係を築くことが, 心優しく, 思いやりに溢れた, 賢い子どもの土台造りとなるのである.

胎教は, 一般的に次のような効果があると言われている.
1. 夜泣きが無くなる
2. 昼間に起きているなど, 産まれてからの子育てがし易い
3. 言葉を覚えるのが早い
4. 情緒の安定した子が産まれる
5. 身体の発達が早い
6. 安産になる事が多い

胎教は勿論, 妊娠中に母親がどのような日常生活を送るか, が産まれてくる子供の将来を左右しているのである.

一方, ご存知の方もおられるかと思うが, 東洋医学には 「気玉」 と言う考えがある.

これは, 両手を擦り合わせた後, 掌を上に向けると 「気玉」 が出来るが, これを丹田 (臍の下の辺り) に収めると, 元気や勇気が出て来るのである.

この 「気玉」 を妊娠中の母親に応用して, ストレスを緩和してあげる事が出来る, と池川クリニックの池川明医師が以下の様に紹介している. (「医道の日本」 2009 年 8 月号)

"夫が妻のお腹に柔らかな温かい 「気玉」 を入れて, 更にお腹に気を送ると, 自然に夫婦が笑顔になる. これは上の子どもも参加する事ができる. そして家族がお腹の赤ちゃんに意識を向けて 「胎話」 すると, 赤ちゃんも温かい波動で満たされ, 気持ちが良くなる様だ. この様にして産まれてきた赤ちゃんが既に何人かいるが, どの赤ちゃんもとても素敵ないい顏をする."

姙娠中, 笑顔の消えている妊婦さんは少なくない.

笑顔になるためには, 夫が奥さんの気持ちを 「解ってあげる」 と言う態度と, 「寄り添っている」 と言うメッセージを送ってやる必要がある.

この 「気玉」 は手軽に出来る優れた方法なので是非妊婦さんに試してみて欲しい, と池川医師は奨めている.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html

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