健康小話

この程, 慶応義塾大学の家田 真樹特任講師らは, 人の心臓の拍動しない細胞を, 拍動する心筋細胞に作り変える事に成功している.

5 種類の遺伝子を入れて変化させたと言う.

この手法を使い, 心筋梗塞患者の体内で心筋細胞を直接作り出せれば, 万能細胞の iPS 細胞を使わない新たな再生医療が実現できると期待しており, 10 年後の臨床応用を目指す計画の様だ.

心筋梗塞では, 心筋細胞が失われるとともに, 拍動しない 「線維芽細胞」 が増え, 心臓のﾎﾟﾝﾌﾟ機能が下がる.

症状改善には心筋細胞を増やす必要があるが, 失われた細胞を元に戻すのは難しい.

実験では, 心臓病で手術をした患者から線維芽細胞を採取し, 5 遺伝子を導入した処, 心筋細胞に似た細胞ができ, 他の心筋細胞と一緒に培養すると, 同じﾘｽﾞﾑで拍動した事が確認されている.

心筋細胞に変化したのは 5% 程度だが, 生後 1 カ月から 80 歳まで, 患者の年齢に関らず, 変化させる事が出来た様だ.

研究ﾁｰﾑは, 既に, 心筋梗塞のﾏｳｽの心臓の細胞に 3 遺伝子を送り込み, 体内で心筋細胞を再生する実験に成功していると言う.

心筋細胞の再生では, iPS 細胞を心筋細胞に育て, 外部から補う研究が進んでいる.

一方, 本研究は, 細い管のｶﾃｰﾃﾙで遺伝子を導入し, 患者の心臓の繊維芽細胞を心筋細胞に変化させるので, 胸を開く手術が不要だと言う.

iPS 細胞を使うよりも作業を簡単にできると言う特長があるとの事.

iPS 細胞を用いる事無く, 心筋を再生できるなら, これまた素晴しい技術と言える.

色々な選択肢が増える事は医療技術の進歩にとって望ましい事である.

本日のｶｯﾄ写真提供 : 下平 宏氏 (ｶﾓ･ｼﾘｰｽﾞ)

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