(1784) 「老い」 は病か? (2)2015/01/13 02:21

大蔵院長の 2 回目のエッセイ (副題 : 「当り前の 『虚弱』 に向き合う」) も感ずる処が多い. (以下, 引用)

元々小柄なのに, 腰が曲がって, より小さくなった高齢の女性 (82) が, 洗面所で転倒し左大腿骨を骨折した.

目がかなり悪く, 周囲が殆ど見えない. それでも持ち前の負けん気で, 老人ホームでも介護を殆ど受けずに生活していた.

整形外科医に 「手術をしなければ二度と歩ける様にはなりませんよ」 と言われた女性は, 骨折した大腿骨を人工骨頭で置き換える手術を受け, 3 週間ほどのリハビリを経てホームに帰って来た.

然し, 以前の負けん気は見る影もない.

「もう放っておいて...」 と部屋に閉じ籠り, 横になる事が多くなった.

老年医学には 「虚弱」 という重要な概念がある.

年を取ると, 病気にならなくても, 心臓や皮膚, 神経など, 全ての臓器の機能が低下する.

然し, 元々備わっている 「予備力」 があるため, 日常生活を送る上では余り問題にならない.

処が, 予備力が低下すると外部からの刺激に弱くなり, 一寸した事で直ぐに転んだり, 簡単に骨が折れたりする. 薬の副作用が出易いのもこのためだ.

ダメージを受けた時の回復のし難さももう一つの特徴.

折れた骨が再びくっつき, 落ちた筋力が元に戻るまで, 何時も以上に時間が掛かると言う肉体的な問題だけでなく, リハビリの意欲や持久力の低下と言った精神的な問題もある.

認知症の患者に至っては, リハビリそのものを理解出来ない.

虚弱とは, 見た目の弱々しさだけでなく, 内臓や知能, 感情を含めた, 人全体の 「老い」 なのだ.

それでは虚弱にどう向き合えば良いのだろうか.

抗加齢 (アンチエイジング) にも限界がある.

骨折した別の高齢女性は 「手術やリハビリで大変な思いをして, たとえ歩ける様になっても, また転ぶでしょう. 残りの人生は車椅子のお世話になるわ」 と言って手術を受けなかった.

私は哲学者の内田 樹さんの著書 「修業論」 の中にヒントを見付けた.

内田さんは 「『天下に敵なし』 とは, 敵を 『存在してはならないもの』 と捉えない事である」 と説き, 加齢や老化も敵と捉えず, 「あって当り前なので, 特段気にしないという心的態度」 となれば 「天下無敵」 になれると諭す.

私たちは虚弱を当然のものとして受け入れる心持ちを, 人生という修行を通して身に付ける必要があるのだろう.

(引用終り)

我々は, 「老い」 による, 心身の 「虚弱」 をどの様に受け容れ, どの様に対応して行けば良いのか?

誰もが考えなければならない問題なのである.

Have a nice day!
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