健康小話

脂質を燃やす 「褐色脂肪細胞」 の働きを活発にする細胞内の新たな経路が, ﾏｳｽの細胞を使って発見されている.

広島大大学院の浅田 梨絵研究員 (生化学) と今泉 和則教授らのﾁｰﾑの研究成果である.

ﾁｰﾑは, 褐色脂肪細胞の詳しい仕組みが分れば, 新薬開発など肥満治療に役立つ可能性があるとの見解を示している.

ﾁｰﾑによると, 褐色脂肪細胞では 「UCP 1」 と言う蛋白質が脂質などの燃焼を担っている.

人の褐色脂肪細胞は首や肩の辺りにあり, 脂質や糖質を燃やして発熱させる働きを有していると言う.

脳は寒さを認識すると, 褐色脂肪細胞に熱を出すように指示する.

すると, 褐色脂肪細胞内では, 複数の蛋白質を介して指令が伝わり, UCP 1 が作られる

これまで 「ATF 2」 「PGC 1α」 と言った蛋白質が介在する経路は知られていたと言う.

ﾁｰﾑは, 「IRE 1α」 と言う蛋白質が別の蛋白質 「sXBP 1」 に働き掛け, UCP 1 ができる別の経路が存在する事を, ﾏｳｽの細胞を使った実験で突き止めたのである.

褐色脂肪細胞の働きが鈍いと, 余分な栄養が皮下や内臓の周りにある白色脂肪細胞に蓄えられ易くなり, 肥満の原因になると言われている.

新たな肥満治療の早期実用化に繋がる事を期待したい.

本日のｶｯﾄ写真提供 : 下平 宏氏 (ﾋﾟﾗｶﾝｻにｼﾞｮｳﾋﾞﾀｷ ①)

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