健康小話

注射でなく, 鼻にｽﾌﾟﾚｰするﾀｲﾌﾟのｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞﾜｸﾁﾝが開発されている.

開発に成功したのは, 徳島大学の木戸 博特任教授らの研究ﾁｰﾑで, 既に, 動物実験でその効果が確認されている.

鼻ﾜｸﾁﾝは患者の負担が小さい上, 従来のﾜｸﾁﾝには出来ない, 感染そのものの予防が可能になる様だ.

今年度中に, 人への臨床試験 (治験) を開始する計画と言う.

ﾜｸﾁﾝは, ﾋﾄの肺の表面にある 「肺ｻｰﾌｧｸﾀﾝﾄ」 と言う物質に, ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞｳｲﾙｽの蛋白質を結合したもの.

鼻から喉の粘膜に吹き付ける形で投与する.

体内に入ったｳｲﾙｽの蛋白質に対する体の免疫反応を, 肺ｻｰﾌｧｸﾀﾝﾄによって増強するﾒｶﾆｽﾞﾑらしい.

注射で投与する現在のﾜｸﾁﾝと違い, ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞと同じ様に粘膜から入る為, 粘膜と血中の両方で免疫反応を起こす事が出来る由.

注射ﾜｸﾁﾝは感染した際の重症化を防ぐ為のものだが, 鼻ﾜｸﾁﾝは感染そのものを防げると期待される様だ.

季節性の H3N2 型ｳｲﾙｽから作った鼻ﾜｸﾁﾝを, ﾐﾆﾌﾞﾀに投与した処, 季節性ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞの感染を予防出来た.

肺ｻｰﾌｧｸﾀﾝﾄは, ｳｼから取ったものが未熟児などの呼吸不全治療薬として既に使われている.

研究ﾁｰﾑはﾋﾄ型の肺ｻｰﾌｧｸﾀﾝﾄの人工合成に成功した由. 人の体内にあるものと同じ物質で, 安全性もより高いとみている様だ.

ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞの鼻ﾜｸﾁﾝは, 国立感染症研究所や英系製薬大手のｱｽﾄﾗｾﾞﾈｶなども開発を進めていると言う.

今後, 実用化に向けて競争が加速して行くのであろう.

本日のｶｯﾄ写真提供 : 下平 宏氏 (枝垂れ桜にｵｼﾞﾛﾋﾞﾀｷ ④)

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