(4495) 隔世の感がある放射線治療2022/02/18 01:52

今回は, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載している「がん社会を診る」からの引用です. 参考にして戴きたい. (以下引用)

今回は, 私が放射線治療医を目指した理由を披露したいと思います.

医者には, 癌に関心がある人とそうでない人がいる様です.

私は学生の頃から, ずっと 「癌派」 でした.

国家試験の後は, 画像診断の道に進む心算で, 東大病院放射線科に入局しました.

然し, 学生の頃には 「ゴール」 と思っていた癌の診断が, 臨床現場では 「スタート」 だと分りました.

放射線科に入局したものの, 画像診断への関心が薄れる中で出会ったのが, 「癌の放射線治療」 でした.

80 年代後半は, 癌の拡大切除が一世風靡した時代でした.

例えば, 乳癌の治療では, 今は, 癌の部分のみ切除して, 乳房全体に放射線を照射する 「乳房温存療法」 が主流ですが, 当時は 「拡大乳房全摘術」 が行われていました.

乳房全体と大胸筋, 小胸筋の全摘に加えて, 脇の下, 首の付け根, 更に, 胸骨の周りのリンパ節も取り除いていました.

手術後に放射線治療 (術後照射) を行う事も多く, 手術後の乳癌患者と話す機会も随分ありましたが, 乳房再建術などなかった時代です.

「鏡を見る事が怖い」, 「温泉に入れない」, 「子供に泣かれた」 と言った訴えをよく耳にしたものでした.

ともかく, 「命さえ助かれば文句は言うな」 と言った 「上から目線」 の医師も多かったと思います.

そもそも, 癌は 「死の病」 で, 告知も行われていませんでした.

医師と患者間の 「情報の非対称性」 が顕著で, 意思決定に患者・家族が関与する事は殆どなかったと思います.

放射線治療で完治を目指せたのは, 喉頭癌, 子宮頚癌などの少数の例外を除くと, 殆どありませんでした.

今, 前立腺癌が放射線治療の対象として, 最上位にいますが, 当時, 治療した覚えはありません.

ただ, 欧米では, 既にその頃, 放射線治療が台頭する気配がありました.

手術向きの癌の代表の胃癌が減少して, 乳癌や前立腺癌と言った放射線治療が有効な癌が増え始めていました.

日本でも, 「癌の欧米化」 が必ず起きる筈だと思っていましたから, 迷わず, 放射線治療を選びました.

その予感は的中しました.

今や, 前立腺癌の患者の中には, ネットなどで情報を集めて, 自ら, 放射線治療を選ぶ人も増えています.

東大病院での前立腺癌の治療件数は, 2020 年に, 初めて放射線治療が手術を上回りました.

全く, 隔世の感です.

次回も放射線治療のメリットを解説したいと思います. (引用終り)

Have a nice day!
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