(5297) 癌以外の死因増と年齢2024/05/02 02:00

今回は, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載している 「がん社会を診る」 からの以下引用です. 参考にして戴きたい.

先月, 母が東大病院に 2 度目の入院をしました.

前回は約 1 カ月の長期入院でしたが, 今回は 1 週間で自宅に戻る事が出来ました.

89 歳の母は高層マンションで長く一人暮しを続けて来ましたが, 2022 年 4 月の末に脚立から落ちて, 腰椎の圧迫骨折を起しました.

転倒した翌日に 「敗血症」 を併発してショック状態となり, 東大病院に緊急入院となりました.

水分補給が足りなかった為か尿道から細菌が感染し, 血液の中に入り込み、全身に炎症反応が広がって, 多臓器不全となって仕舞ったのです.

敗血症は昨今, 高齢者を中心に増えていて, 国内での年間死亡数は 10 万人を超えます.

癌による死亡は 38 万人ですから, 約 4 分の 1 に相当する重大な死因になっています.

高齢でなくても, 癌の抗癌剤治療には白血球が減少して敗血症を起すリスクが常にあり, 癌専門医にとっても注意が必要な病態です.

幸い母は敗血症を乗り越えましたが, 長く臥床していた為, 立つ事も出来なくなってしまいました.

癌患者にも屡々見られる 「廃用症候群」 です.

東大病院からリハビリ病院に転院し, 4 カ月近く訓練を続け, 9 月半ばに自宅に戻りました.

その後は介護保険を使いながら自宅で過して来ました.

先月は, 前回と同様に転倒がきっかけの尿路感染により, 持病の心臓病が悪化した事で再度の入院となりました.

今回の転倒でも, 母は肋骨を骨折しています. 高齢者が転ぶと, 痛みの為トイレに行かなくなり, 尿路感染症のリスクが高まります.

細菌感染に対抗するには, 酸素や栄養を使って免疫細胞を動員する必要があり, 心臓にも負担が掛かります.

高齢者の転倒は 「万病の元」 です.

母を診ていると, 癌の心配など頭から消えてしまいます.

癌が死因に占める割合は, 男性は 65 - 69 歳がピークで, この年代で癌死亡は死因全体の半分弱を占めます.

女性は 55 - 59 歳がピークで, 死亡の 6 割近くが癌によるものです.

然し, 癌で死亡する割合は男性では 70 代以降, 女性では 65 歳以降は低下し, 老衰や心臓病と言った癌以外の病気で死亡する割合が高くなります.

癌による死亡数自体は年齢と共に増えますが, 死因としての癌の割合は 65 - 70 歳からは減って行きます.

特に 80 歳以降は癌以外の死亡を避ける事が大切です. 母も癌で死ぬ事はないと思います. ただただ, 転ばないで呉れと祈るばかりです.

Have a nice day!
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