健康小話

脳内の免疫機能を調整する蛋白質がなくなると, ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病の原因物質が減少して認知機能が改善する, と京都大などの研究ｸﾞﾙｰﾌﾟが英科学誌ﾈｲﾁｬｰに発表している.

この蛋白質を標的とした新たな治療法の開発が期待されると言う.

ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病は認知症の大部分を占め, 脳内にｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀ (Aβ) と呼ばれる蛋白質が蓄積し, 神経細胞が破壊される事で発症する.

近年, 脳内の免疫細胞 「ﾐｸﾛｸﾞﾘｱ」 が Aβ の除去に深く関わっている事が報告されている.

研究ｸﾞﾙｰﾌﾟは, ﾐｸﾛｸﾞﾘｱに存在し, 免疫機能を調整する蛋白質 「Tim-3」 が脳の成長につれて増加する事を確認.

ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ 病のﾏｳｽを使い, 遺伝子改変で Tim-3 をなくした処, Aβ の蓄積が 50 - 60% 減少し, 認知機能が改善した.

ﾏｳｽの遺伝子を解析すると, Aβ の除去に関わる遺伝子が増えていたと言う.

近年, Aβ を除去する薬剤 「ﾚｶﾈﾏﾌﾞ」 を使った治療法が注目を集めているが, 脳の浮腫みや出血と言った副作用が懸念されている.

Tim-3 の働きを阻害して Aβ を除去する薬剤を開発する事で, ﾚｶﾈﾏﾌﾞとの併用により, 副作用を低減させる可能性もあると言う.

京大大学院医学研究科の木村 公俊特定講師 (臨床神経学) は 「他にもﾐｸﾛｸﾞﾘｱで Aβ と言った原因物質の除去に繋がる物質が存在する可能性があり, ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病など多くの神経疾患の治療に結び付けたい」 と話している.

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