貝原 益軒の 『養生訓』 を読む (11)2010/05/28 03:00

山中の人は多くは命ながし. 古書にも山気は寿 (ジュ) 多しと云, また寒気は寿 (イノチナガシ) ともいへり. 山中は寒くして, 人身の元気をとぢかためて, 内にたもちて洩らさず. 故に命ながし. 暖なる地は元気洩れて, 内に保つ事すくなくして, 命みじかし. 又, 山中の人は人のまじはり少なく, しづかにして元気を減らさず, 万 (ヨロズ) ともしく不自由なる故, おのづから欲少なし. 殊に魚類まれにして肉にあかず. 是 (コレ) 山中の人, 命ながき故なり. 市中にありて人に多くまじはり, 事しげければ気へる. 海辺の人, 魚肉を常に多くくらふゆへ, 病おほくして命みじかし. 市中にをり海辺に居ても, 慾をすくなくし, 肉食をすくなくせば害なかるべし. (巻第二 20)

久し振りに 『養生訓』 を読んでみよう.

以前, “野山を駈け巡る事は筋力の維持向上のみならず, 森林浴にも繫がる. 森林浴は, 微生物の活動を抑制したり, 殺菌作用を持つフィトンチッド (phytoncide) と言う, 樹木などが発散する揮発性の化学物質を浴びる事で健康を維持する方法だが, 健康だけでなく癒しや安らぎを与える効果もある” とこの欄で紹介している.

当時は未だ 「フィトンチッド」 と言う物質の存在など知られている筈もないが, 昔から山中には “気” が満ちていて, 生命を養うとの考えが存在していたのである.

気を消耗する事の多い市中や海辺に住んでいても, 慾を少なくして肉食をほどほどに節制すれば, 長命を保つ事も可能になる, と益軒は説いている.

金銭欲, 出世欲, 色欲, 名誉欲等々, 欲望にも色々ある.

が, 欲望に取り付かれた亡者になっては人間お仕舞だ. 人間としての王道を踏み外し, 晩節を汚した人間が如何に多い事か. 人間 “汚名” を遺す様では, 生きた価値がないも同然だ. 金を抱いて, あの世に行く事は出来ないのである.

人間の幸不幸は糾える縄の如し, と言われるが, 人間の幸福とは何か, それは人それぞれであろうが, 他人のお役に立てる人生こそ, 真の生甲斐に繫がるのではないだろうか.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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