鎌田流 「がんに負けない 10 カ条」2010/05/29 05:29

「命の対話」 で有名な鎌田 實先生が 「がんに負けない 10 カ条」 と言うものを挙げている. (「鎌田 實の見放さない・ブログ」 5/19 付より)

第 1 条 : まずは禁煙
たばこ税が値上げされる. この時を逃さず, 禁煙のきっかけにするといい. 行動変容はタイミングが大事だ.

第 2 条 : アルコールは 「いい・加減」 で
アルコール多飲者は, 肝臓がん, 食道がん, 胃がん, 大腸がんなどのリスクが高い. 適量が大事. 日本酒に換算すると2 合までを一つの目安にすること.

第 3 条 : 肥満の程度は 「ちょい太」 までに
肥満は, 前立腺癌や乳癌, 子宮体癌, 大腸癌など, ホルモンに影響を受ける癌と関係している. 鎌田理論では BMI 27 までを 「ちょい太」 と考えている. 27 以上の 「おお太」 は駄目. 24 - 27 の 「ちょい太」 くらいに納めたい. 時々美味しいものを食べ, 幸せを感じた方が, 行動変容は長続きする. 人生を楽しんで悪いことはない.

第 4 条 : 薄味を 「我が家の味」 に
胃癌は, 塩分の摂取量と密接に関係している. 日本が世界的な胃癌多発国であったのは, 日本食に塩分が多いことと関係がある. 冷蔵技術が進歩して, 塩蔵食品に頼らなくてもよくなってきたため, 日本人の胃癌の発生率は少しずつ減って来ている. 薄味で育った子は, 薄味をつくる大人になる. 習慣は代々繋がってしまうもの. 自分の子や孫たちを, 胃がんや脳卒中から守るために, あなたの代から薄味へと習慣を変えよう.

第 5 条 : 抗酸化力のあるものを食べる
細胞の癌化は, フリーラジカルと言う物質が関係している. それを防ぐには, 抗酸化力の高い食べ物をとるとよい. ベータカロテン, リコピン, アスタキサンチンなど, 野菜や魚に含まれる色素には抗酸化力がある.

第 6 条 : 薬味を見直す
アメリカの国立癌研究所は, 癌になり難いデザイナーフーズを発表している. 代表的なものにニンニク, キャベツ, ショウガがある. 中でもショウガがお勧め. アディポネクチンの分泌をよくし, 生活習慣病も予防してくれる. 更にデトックス効果がある. 優れた薬味, ショウガを見直そう.

第 7 条 : 食物繊維もたっぷり
食物繊維が多いと大腸癌の予防になる. 野菜, きのこ, 海草をせっせと食べるように心がけよう. リコピンたっぷりのトマトと, 繊維の王様・寒天を合体させたトマト寒天は鎌田家の定番メニュー.

第 8 条 : 母乳で育児
授乳期間中の女性には, 出来るだけ出生後半年間の母乳の授乳を勧めたい. 母乳を与えたお母さんは, 将来, 乳癌のリスクを下げるという報告もある.

第 9 条 : 運動習慣を身につける
適度な運動は, 生活習慣病の脳卒中や心筋梗塞を防ぐために有効だが, 癌の死亡率を下げたり, 癌になり難くしてくれる. 癌予防と運動なんて関係なさそうだが, 意外なことに科学的根拠があるのは運動なのだ. 毎日の散歩やスポーツはいい習慣. 鎌田流インターバル速歩や, 頑張らないスクワットを, 癌予防のためにお勧めしたい.

第 10 条 : よく笑い, よく泣く
笑うことや泣くこと, 感動すること, ほっとすることが, 体の免疫能をアップさせてくれる. 我慢して感情をため込むと, ストレスになる. 楽しいときは笑い, 悲しいときは泣き, 納得できないときはきちんと表現することが大事. 性格は簡単には変わらないが, 行動パターンは変えられる. Yes, we can!

この中で鎌田先生は言う. 毎日約 5000 個の細胞が体内で癌化している. 細胞は絶えず新陳代謝を繰り返している. DNA が複製される際に, 傷がつく時があるが, そのまま癌になる訳ではなく, 傷ついた細胞は細胞自体が自死するように設定されている. この仕掛けをアポトーシスと言うが, たとえアポトーシスを巧みにすり抜けても, 免疫細胞によって破壊され, 食べられる. こうやって体は, 癌になるのを防いでいる.

癌化を誘発するものが, ある程度, 判ってきた. その一つはウイルス, 例えば C 型肝炎ウイルスは, 慢性肝炎や肝硬変を起こすだけでなく, 肝臓癌の原因となる.

細菌も癌化を起すと言われている. ピロリ菌は, 感染した人総てが胃癌になる訳ではないが, 喫煙や塩分の摂り過ぎなどの条件が加わると胃癌のリスクを高める事が判って来た.

放射線も DNA の複製時に傷をつける一つのリスクファクターになる. 白血病や骨肉種, 肺癌を起すと言われている.

たばこに含まれる化学物質は, 肺癌の原因となる. それだけでなく, 食道癌や大腸癌などでも, 喫煙者の方が圧倒的にリスクが高いと言われている.

これをすれば, 癌にならないと言う方法はない. 然し, 毎日の生活から, 癌の危険因子となるような生活習慣を取り除くことは出来る. 癌に負けないために, 「行動変容」 を起すことが大事だと思う.

この 10 カ条の総てでなくても, 出来るものから実行するとよいだろう. 自分の生活習慣を見直すことで, 生活の問題点や偏りが見つかり, 自ら 「行動変容」 を起し易くなる.

鎌田先生は以上の様に述べておられる. 何時もながら, 判り易く, 説得性に富んだ内容のブログである.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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