米山 公啓 著 「認知症は予防できる」 (ちくま新書) から (5) - 12010/11/20 03:17

第 5 章は, 家族がなすべき事と, 医療機関に任すべき事, とを如何区別したらよいか, 言う観点に焦点を絞って書かれている.

ここからがいよいよ認知症の患者を抱えた 「家族」 は如何向き合うべきか, について, 専門医としての著者の実体験にも基づき, 家族としての大切な心構えを述べている.

・ 家族の心の変化

1) 否定 :

病名の告知方法などが問題とされる様に, 認知症に限らず, 診断に対する否定は誰でも起ることである.

寧ろ, 素直に医者の診断を受け容れる家族の方が少ないのかもしれない.

2) 困惑 :

身近で介護している人は, 認知症であることが理解できているが, 周囲がそれを認めないために, 困惑する事がよくある.

病気への認識の違いが, 認知症を取り囲む人たちに最も混乱を惹き起こす可能性がある.

例えば, 認知症の母親も息子の前ではそれなりに繕ってしまう事もあり, 息子は認知症だとは疑わないため, 認知症だと指摘する妻との対立が起り得るのである.

関係が悪化すると, 夫は, 妻は母親の介護をしたくないから認知症を疑うのではと, 疑いの目で見てしまう事もある.

もう一つの問題は, 認知症だと理解出来るようになっても, 何とか病気を治そうと色々な医者に掛かる事である.

これ自体は悪くはないが, 良くならない事に憤りを感じたり, 冷たく突き放す医者がいると, その医者を非難したりする事がある.

3) 受け容れ :

認知症の介護で最も重要な処である.

認知症を受け容れる事が如何に大切であるか, それは時間が掛からないとなかなか理解出来るものではない.

4) 看取り :

認知症の末期を如何するかは非常に大きな問題である.

認知症の最期は寝たきりである. 65 歳以上の寝たきり期間は, 5 割近くが 3 年以上と言う統計もある.

だから, 最期は何処で看取るかをはっきり決めておく必要がある.

多くの家族は家で看取りたいと思うかも知れないが, 実際に呼吸状態がおかしくなっても, 家では何も出来ない.

何もしないと言う事は非常に勇気の要る事であり, 家で最期を看取ると言っても, 結局病院へ移送する事が多い.

また, 介護施設で亡くなるケースも多いが, 施設も高齢者の最期に慣れているので, 余計な延命治療せずに, 看取る事は可能である.

それでも, 最期を如何するか, 入所の時にしっかり相談しておく必要がある.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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