(1456) 江戸時代の乳房観2014/02/19 02:23

浮世絵研究家・文筆家として多彩な活動を展開している白倉 敬彦 (シラクラ ヨシヒコ) さんは, 国際浮世絵学会常任理事でもある.

著書も多数で, 『江戸の吉原』, 『江戸の春画』, 『江戸の色恋』, 『江戸の男色』, 『春画と肉筆浮世絵』 など, 近世遊里や春画などに関するものが多い.

その白川さんが, 江戸時代の人たちは, 女性の乳房について, どの様な想いを持っていたのか? について, 次の如くなかなか面白い見解を披露している.

白川さん曰く, 江戸時代の性は, 現代以上に奔放でおおらかだった.

喜多川 歌麿や葛飾 北斎など, 当代一の絵師たちが腕を競って描いた春画を分析してみると, なぜか, 乳房の扱いが雑と言うか, シンプル過ぎる.

大抵の場合, 乳首に色すら付いていない. 男女の性器や陰毛の描写には微に入り細を穿つ絵師も, 乳首と乳輪の様々な表情には目を向けず, 単に "ポッチ" を描くだけ.

それは何故か? 江戸の男は, どうも女の乳房を "子育ての道具" と認識していた様で, 性的関心の対象外であった様だ.

江戸初期の春画に至っては, 男女の胸を殆ど同じ様に描いている位で, 制作者側としては, 『おっぱいなんか, どうでもいい』 と言う事なのです.

然も, 春画に G カップ, H カップの巨乳は登場しない. 精々 B カップ, 大きくて C カップ程度. どうやら, 江戸の街に巨乳ブームは巻き起こらなかった様だ.

だが, 漸く江戸中期になり "おっぱいモノ" とでも言うべき春画が登場する.

とは言え, 乳房に吸いついているのは赤ん坊であり, 男は授乳の隙を狙って女の性器をクヂったり, 陰茎を挿入したりと下半身への攻勢に余念がない. ここにも江戸の性事情が浮かんで来る.
 
白倉さん曰く. 「性器と挿入行為をクローズアップしたのは, 読者のニーズに忠実だった証拠でもあります」 と.

ただ, 乳房への愛撫が性的興奮を伴うものだという認識はちゃんとあった.

その点を抜かりなく描いた絵師が, 喜多川 歌麿や鈴木 春信, 更には彼らの弟子筋だった.

特に, 歌麿は乳房への執着を隠そうとしなかった.

彼は, 遊女が大胆に胸をはだけたり, 金太郎が山姥の乳房にむしゃぶりついたりする様を活写した.

遊女の胸元には淫靡さが漂うし, 金太郎と山姥の絵には母子姦通すら示唆されている様な按配だ.

また, 対面座位で交わり, 男がすかさず乳首を咥える絵では, 女は完全にエクスタシーの表情になっている.

然し, 乳房への性的な注目度が低かったと言う事は, 愛撫も蔑ろにされていたのだろうか.

「春信一派と言われる磯田 湖龍斎の 『色道取組十二番』 では, 情夫が遊女を後背位で攻め立てながら, しっかり乳首に刺激を加えています. 女郎は 『あれさ, そんなのよしなよ』 と呟く. プロの女性にとっても, 男からの乳房への愛撫は意外性があったうえ, 予期せぬ快楽を齎している様です」

如何やら, 乳房を攻めて興奮へ導く術を習得している男は, プロの女の虚を衝くほどのテクニシャンという事の様だ.

確かに, 時代により, 世の中の常識と言うものが変遷を遂げるのと同じ様に, 性的なフェティシズムにも "移ろい" がある様である.

然らば, 所変って, 海外においては, 乳房に対してどの様な Sentiment を持っているものなのであろうか?

本日のカット写真 : 伊・トスカーナ州 (サン・ジミニャーノ)

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