健康小話

先般, 熊本大学の粂 昭苑教授らは, ﾏｳｽの胚性幹細胞 (ES 細胞) から, 大量のｲﾝｽﾘﾝを分泌する膵臓の細胞を作る技術を開発したと発表している.

糖尿病のﾏｳｽに移植すると, 血糖値が正常値に戻ったと言う.

今後は, ﾋﾄの糖尿病治療への応用を目指すとの事.

これまでも ES 細胞や同じ万能細胞である iPS 細胞から, 膵臓のβ細胞を作り糖尿病治療を目指す研究は存在していた.

然し, 細胞の作製が難しく, 十分な量のｲﾝｽﾘﾝを分泌出来ないと言う課題があった様だ.

研究ﾁｰﾑは, 約 1120 種類の化合物をﾏｳｽの ES 細胞に投与し, ES 細胞からｲﾝｽﾘﾝを多く分泌するβ細胞に変える 2 種類を突き止めたのである.

この化合物で作ったβ細胞は, 従来と比べて約 50 倍の量のｲﾝｽﾘﾝを分泌しており, 生体内と略同じ能力に近づいたと言う.

今後, ﾋﾄの iPS 細胞を用いた研究に着手する由.

厚労省の平成 19 年の国民健康･栄養調査によると, 「糖尿病が強く疑われる人」 の 890 万人と 「糖尿病の可能性を否定出来ない人」 の 1,320 万人を合わせると, 全国で 2,210 万人にも達する, と推定されているのである.

然も, 糖尿病が疑われる人の約 4 割は殆ど治療を受けた事がない人たちであると言われている.

再生医療に期待する処, 大なるものがあるのである.

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