(1636) iPS 細胞を用いた癌免疫療法2014/08/18 02:39

熊本大学の千住 覚准教授らは, iPS 細胞を使った癌免疫療法を開発している.

これまでに, 膵臓癌や胃癌の治療を想定したマウスの実験で, 癌の進行を抑える効果が確認されており, 2016 年を目標に医師主導の臨床試験 (治験) を開始する計画の様だ.

十分な治療効果を発揮するのが技術的に難しい癌免疫療法だが, iPS 細胞の活用が臨床応用に弾みをつける可能性がある.

研究チームは, ヒトの iPS 細胞から免疫細胞の 「マクロファージ」 を大量に作製. この細胞が癌細胞に集まり易い性質を利用し, 薬剤送達システム (DDS) という抗癌剤の運び役として使う治療法を開発したのである.

具体的には, ヒト iPS 細胞に 「cMyc」 と 「BMI 1」 という 2 種類の遺伝子を導入し, マクロファージを量産出来る様にした.

更に別の遺伝子を追加し, 抗癌作用がある蛋白質 「インターフェロンβ」 を分泌させる機能を持たせた.

癌細胞を注射して胃癌と膵臓癌を発症した 2 種類の実験用マウスを用意.

これに iPS 細胞から作ったマクロファージを別々に腹腔に注射した処, マクロファージは癌組織に入り込み, 胃癌のマウスは注射して約 1 カ月後も癌は大きくならず, 進行を抑制する効果を確認した.

また, 膵臓癌のマウスは治療効果がより顕著で, 癌細胞が略なくなるケースもあったと言う.

白血球の一種であるマクロファージは, 癌細胞が作り出す蛋白質を感知して集まり, 捕食する性質で知られる.

然し, 癌が大きくなると免疫を抑制し, マクロファージの攻撃力も弱まる.

このため, 治療効果を引き出すには膨大な量が必要で, 増殖力に長けた iPS 細胞の活用によって道が開けたらしい.

インターフェロンは, 癌細胞以外の組織や臓器に影響を及ぼす懸念があると言う.

治験の第 1 段階では 10 人程度の患者を対象に少量の投与から始め, 副作用を慎重に見極めながら安全性を調べる事になる様だ.

癌免疫療法とは, 病原体などの外敵から体を守る免疫システムを活用した癌の治療法である.

患者の血液から免疫細胞を採取し, 大量に培養してから患者に戻す 「免疫細胞療法」 では, リンパ球の一種である 「T 細胞」 や, 免疫制御の司令塔である 「樹状細胞」 を使った手法がある.

癌免疫療法は, 外科療法と化学療法, 放射線療法に続く 「第 4 の癌治療法」 と呼ばれる.

一部では治療を試みる病院もあるが, 他の 3 療法を凌ぐ様な成果は未だ得られていないと言う.

iPS 細胞を用いた新手法が Breakthrough となるのか, 興味を以って見守りたい.

Have a nice day!
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