(5355) 小児向け心臓パッチ - 再手術リスク低減2024/06/29 03:41

帝人は衣料素材メーカーの福井経編 (タテアミ) 興業 (福井市) や大阪医科薬科大学と共同で開発した心臓パッチ 「シンフォリウム」 を発売したと発表している.

先天性心疾患を持つ小児患者向けの製品で, 伸びる事で心臓の大きさの変化に対応し, 再手術のリスクを低減出来る.

帝人傘下の帝人メディカルテクノロジー (大阪市) が販売している.

2023 年 7 月に厚生労働省から製造販売の承認を取得した. 価格は 104 平方センチメートルの製品で 37 万 8560 円. 国内では既存製品で約 10 億円の市場があり, その内 2 割を新製品で置き換える事を狙っている.

先天性心疾患は生まれつき心臓や血管の構造が通常と異なる事が原因となり, 血液の循環に支障が出る病気で, 新製品は心臓の一部を切り開いてパッチで補強する手術の際に使う.

シンフォリウムは体内に吸収される糸と, 吸収されない糸を特殊な方法で編み, 編み目をゼラチンで埋めている.

組織が再生する過程でゼラチンと吸収性の糸が分解される事で編み目が緩くなり, パッチが伸びる仕組みと言う.

既存製品では貼り付けたパッチの劣化や, パッチの大きさが心臓の成長に合わず手術した箇所が狭くなってしまうなどの問題が起き, 再手術が必要となるケースも多い.

ただ, 再手術はコストや患者の身体的な負担が大きい.

5 月に開かれた製品発表会で, 福井経編興業の高木 義秀社長は 「シーズ (技術の種) とニーズががっちり合った製品だ. 海外にも展開して行きたい」 と語っている.

同製品は開発中に作家の池井戸 潤さんが取材しており, 小説 「下町ロケット ガウディ計画」 に登場する心臓の人工弁技術の題材にもなったと言う.

本日のカット写真 : 下平 宏氏フォトギャラリーから (飾り羽拡げ羽繕いのチュウサギ)

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