健康小話

先ごろ, なかなか興味ある研究成果が発表になっている.

成長して離乳したﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰでも, 大人になるまでに母親と死別すると早死にする傾向がある, と言うのである.

京都大と神戸学院大, 鎌倉女子大の共同研究ﾁｰﾑが, ｱﾌﾘｶ･ﾀﾝｻﾞﾆｱに生息するﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰの群れの観察ﾃﾞｰﾀの分析から明らかになったものである.

ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰの母親が, 離乳後も何らかの形で子供の世話をしている事を示す結果であると言う.

京大の中村 美知夫准教授 (人類学) は 「ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰの母子の絆が長く続くのは人間と共通性がある. 人間の親子関係の進化を解明する手掛かりになるのでは」 とｺﾒﾝﾄしている.

同ﾁｰﾑは, ﾀﾝｻﾞﾆｱ西部の熱帯の森林で暮すﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰの群れを観察した 1972 - 2012 年のﾃﾞｰﾀを分析した.

すると, 離乳する 5 歳から大人になる 15 歳までに母親が死んだ雄 29 頭のうち, 年齢ごとに算出した群れの平均的な余命を超えて生きられたのは 7 頭だけだった事が判明したと言う.

中村准教授は 「子供が大怪我をした時など重要な局面でｻﾎﾟｰﾄするのではないか」 ともｺﾒﾝﾄしている.

日曜の夜, NHK で放送される 「ﾀﾞｰｳｨﾝが来た」 などを観ていても, 動物の世界の親子の絆には感動させられる事が少なくない.

けれども, 昨今は, 子どもの虐待が後を絶たないでいるのは如何言う訳なのであろうか.

つい最近も, 次々に子どもを産んでは, 公園などに遺棄を繰返したりした夫婦が逮捕されている.

また, 一方では, 幼い子どもを餓死させて, 7 年間も部屋に放置しておいた父親が逮捕されてもいる.

悲惨極まりない子どもの虐待事件が多過ぎる. 精神医学的にも興味ある社会現象であると思う.

本日のｶｯﾄ写真提供 : 下平 宏 氏 (雨あがり 4)

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