(1775) 怨みに報いるには?2015/01/04 02:22

毎年, 年が改まると, 檀家に住職から挨拶文が送られて来る.

今年は, 昨年, 最年少でノーベル平和賞を受賞した 18 歳の少女マララ・ユスフザイさんの国連でのスピーチが引用されていた.

そのスピーチで, 彼女は, 古今の聖賢から 「恨みに対してはどの様に報いるべきか」 を学んだと, 以下の如く言っている.

『私は, 自分を撃ったタリバン兵士さえも憎んではいません.

私が銃を手にして, 彼が私の前に立っていたとしても, 私は彼を撃たないでしょう.

これは, 私が預言者モハメッド, キリスト, ブッダから学んだ慈悲の心です.

これは, マーティン・ルーサー・キング, ネルソン・マンデラ, そしてムハンマド・アリー・ジンナーから受け継がれた変革という財産なのです.

これは, 私がガンディー, バシャ・カーン, そしてマザー・テレサから学んだ非暴力という哲学なのです.

そして, これは私の父と母から学んだ「赦しの心」です.』

そして, 彼女の長いスピーチの幾つかの箇所に解説を加えた後, 住職は次の様に結んでいる.

孔子は <ある人曰く, 恨みに報いるに徳を以ってすれば如何. 子曰く, 何を以ってか徳に報いん. 直きを以って恨みに報い, 徳を以って徳に報ゆ.> と訓えている.

詰り, 「人から受けた徳には何を以って報いれば良いのか, との問いだが, 恨みには誠実さを以って報い, 徳には徳を以って報いればよい.」> と孔子は答えたのである.

仏典の一つ 「法句経」 に <実にこの世界にはおいては, 怨みに報いるに怨みを以ってしたならば, 遂に怨み息 (ヤ) むことがない.

怨みを捨ててこそ息む. これは永遠の真理である.> との訓えがある.

また, 天台宗の宗祖伝教大師最澄上人は 『山家学生式』 に <悪事を己に向かえ, 好事を他に与え, 己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり> と述べ, 自己の利益を忘れて, 他の人の為に行動すると言う 『慈悲之極』 の教えを開示しています.

以上の如く, 今年の住職の年頭所感には, 怨みと赦しについての訓えが述べられていた.

住職の年頭所感を一読し, 私は, マララさんのスピーチの全容を知りたいと思い, ネットで検索してみた.

すると, 彼女の国連でのスピーチの全文が英語と日本語とで紹介されている事を知った.

少し長くなるが, 以下に抜粋して引用する.

18 歳の少女の言葉とはとても信じられない程素晴しい内容のものだ.

オバマ大統領もノーベル平和賞を受賞しているが, 彼が本当にその賞に値したのか, その後の行動を見ても疑問が解けていないが, 彼女は正しくノーベル平和賞に値する事が理解出来ると思う.

以下の如く, とても 18 歳の少女の言葉とは考えられない位, 感動的なスピーチである事を知った.

興味ある方は是非全文に当ってみて欲しい. (以下, 抜粋引用)

『慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において.

何処からスピーチを始めたらいいでしょうか. 皆さんが, 私にどんな事を言って欲しいのかは分りません.

然し先ず初めに, 我々総てを平等に扱って呉れる神に感謝します.

そして, 私の早い回復と新たな人生を祈って呉れた総ての人たちに感謝します.

親愛なる少年少女の皆さんへ, 次の事を決して忘れないで下さい.

マララ・デーは私一人の為にある日ではありません.

今日は, 自分の権利のために声を上げる, 総ての女性たち, 総ての少年少女たちの為にある日なのです.

何千もの人々がテロリストに命を奪われ, 何百万もの人たちが傷付けられています. 私もその 1 人です.

そして, 私はここに立っています. 傷付いた数多くの人たちの中の, 一人の少女です.

私は訴えます. 自分自身の為ではありません. 総ての少年少女の為にです.

私は声を上げます. と言っても, 声高に叫ぶ私の声を届ける為ではありません.

声が聞こえて来ない 「声なき人々」 の為にです. それは, 自分たちの権利のために闘っている人たちの事です.

平和に生活する権利, 尊厳を持って扱われる権利, 均等な機会の権利, そして教育を受ける権利です.

親愛なる皆さん, 2012 年 10 月 9 日, タリバンは私の額の左側を銃で撃ちました. 私の友人も撃たれました.

彼らは銃弾で私たちを黙らせようと考えたのです.

でも失敗しました.

私たちが沈黙したその時, 数え切れない程の声が上がったのです.

テロリストたちは私たちの目的を変更させ, 志を阻止しようと考えたのでしょう.

然し, 私の人生で変ったものは何一つありません. 次のものを除いて, です.

私の中で弱さ, 恐怖, 絶望が死にました. 強さ, 力, そして勇気が生まれたのです.

私はこれまでと変らず 「マララ」 のままです. そして, 私の志も全く変りません. 私の希望も, 夢も全く変っていないのです.

親愛なる少年少女の皆さん, 私は誰にも抗議していません.

タリバンや他のテロリストグループへの個人的な復讐心から, ここでスピーチをしている訳でもありません.

ここで話している目的は, 総ての子どもたちに教育が与えられる権利をはっきりと主張する事にあります.

総ての過激派, とりわけタリバンの息子や娘たちの為に教育が必要だと思うのです.

私は, 自分を撃ったタリバン兵士さえも憎んではいません.

私が銃を手にして, 彼が私の前に立っていたとしても, 私は彼を撃たないでしょう.

これは, 私が預言者モハメッド, キリスト, ブッダから学んだ慈悲の心です.

これは, マーティン・ルーサー・キング, ネルソン・マンデラ, そしてムハンマド・アリー・ジンナーから受け継がれた変革という財産なのです.

これは, 私がガンディー, バシャ・カーン, そしてマザー・テレサから学んだ非暴力という哲学なのです.

そして, これは私の父と母から学んだ「赦しの心」です.

親愛なる少年少女の皆さん, 私たちは暗闇の中にいると, 光の大切さに気付きます.

私たちは沈黙させられると, 声を上げる事の大切さに気付きます.

同じ様に, 私たちがパキスタン北部のスワートにいて, 銃を目にした時, ペンと本の大切さに気付きました.

「ペンは剣よりも強し」と言う諺があります. これは真実です.

過激派は本とペンを恐れます. 教育の力が彼らを恐れさせます. 彼らは女性を恐れています. 女性の声の力が彼らを恐れさせるのです.

だから彼らは, 毎日学校を破壊するのです.

なぜなら, 彼らは, 私たちが自分たちの社会に齎そうとした自由を, そして平等を恐れていたからです. そして彼らは, 今もそれを恐れているからです.

私たちの学校にいた少年に, あるジャーナリストがこんな事を尋ねていたのを覚えています.

「なぜタリバンは教育に反対しているの?」.

彼は自分の本を指さしながら, とてもシンプルに答えました. 「タリバンはこの本の中に書かれている事が分らないからだよ」

彼らは, 神はちっぽけで取るに足りない, 保守的な存在で, ただ学校に行っていると言うだけで女の子たちを地獄に送っているのだと考えています.

テロリストたちは, イスラムの名を悪用し, パシュトゥン人社会を自分たちの個人的な利益のために悪用しています.

パキスタンは平和を愛する民主的な国です.

パシュトゥン人は自分たちの娘や息子に教育を与えたいと思っています.

イスラムは平和, 慈悲, 兄弟愛の宗教です. 総ての子どもに教育を与える事は義務であり責任である, と言っています.

インドでは, 純真で恵まれない子どもたちが児童労働の犠牲者となっています. ナイジェリアでは多くの学校が破壊されています.

アフガニスタンでは人々が過激派の妨害に長年苦しめられています. 幼い少女は家で労働をさせられ, 低年齢での結婚を強要されます.

貧困, 無学, 不正, 人種差別, そして基本的権利の剥奪...これらが, 男女共に直面している主な問題なのです.

私たちは総ての政府に, 全世界の総ての子どもたちへ無料の義務教育を確実に与える事を求めます.

無学, 貧困, そしてテロリズムと闘いましょう. 本を手に取り, ペンを握りましょう. それが私たちにとって最も強力な武器なのです.

1 人の子ども, 1 人の教師, 1 冊の本, そして 1 本のペン, それで世界を変えられます.

教育こそがただ一つの解決策です. エデュケーション・ファースト (教育を第一に).

(One child, one teacher, one pen and one book can change the world. Education is the only solution. Education First.)

ありがとうございました.』

今日のカット写真 : 下平 宏氏提供 (オオハクチョウ・シリーズ)

Have a nice new year's holiday!
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