(3369) iPS で癌幹細胞を再現, 創薬へ2019/04/28 02:32

iPS 細胞の技術を使って, 癌を制圧する創薬研究が加速している, と日経が報じている.

神戸大学は肺癌で, 岡山大学は食道癌や頭頸部頷で, 癌細胞を生む親玉と言われる 「癌幹細胞」 を人工的に作り, それぞれ治療薬候補を突き止めている.

既存の抗癌剤と併用する事で, 癌の転移や再発を防ぎ, 根治に繋がる治療法の実現を目指すと言う.

神戸大学の青井 貴之教授らは iPS 細胞を作製する際に使う遺伝子を人の肺癌細胞に導入し, 人工的に肺癌の癌幹細胞を作った.

骨や脂肪などになる間葉系幹細胞や正常な血管と混ぜて培養すると, 増殖して癌組織になり, 癌幹細胞の特徴があった.

作製した癌幹細胞は, 関節リウマチの発症に関わる蛋白質 「IL-6」 を分泌し, 正常な細胞を異常な細胞に変えていた.

然し, IL-6 の働きを抑える物質を加えると増殖せず, 癌組織が出来なかった.

この様な物質と既存薬を組み合わせれば, 相乗効果が期待出来る.

数年後の臨床試験 (治験) 開始を目指す考えと言う.

一方, 岡山大学の大原 利章助教らは, 妹尾 昌治教授が開発した技術を活用した.

マウスの iPS 細胞に癌細胞の培養液をかけて人工の癌幹細胞を作製. これに, 輸血を繰り返すと発症する鉄過剰症の治療薬 「鉄キレート剤」 をかけて培養した.

すると, 人工の癌幹細胞は自己複製して増殖したり, 様々な細胞に成長したりする幹細胞の性質がなくなり, 通常の癌細胞に変化し, 癌は増殖しなかった.

食道や頭頸部の癌に有効な可能性があると言う.

大原助教は 「(鉄キレート剤と組み合わせれば) 癌幹細胞に効かなかった既存の抗癌剤の治療効果を高められる」 と期待している.

然し, 鉄キレート剤は腎障害や吐き気などの副作用があり, 体力の落ちた患者には使い難い.

その為, 研究チームは先端素材ベンチャーのダステック (金沢市) と協力し, 患部に効率的に届ける技術などの開発を進める由.

iPS 細胞を利用した創薬は, 生まれながらの遺伝子の異常による病気などの研究が先行している.

患者の細胞から iPS 細胞を作り, 病気のメカニズムを解明したり, 新薬候補物質を探したりしている.

たばこや放射線などの環境要因も影響する癌の創薬においても, iPS 細胞が研究手法を革新しつつある.

癌幹細胞とは, 癌の組織を生み出すもとと考えられている細胞である.

自ら分裂し, 癌細胞を生み出して行く. 抗癌剤に強く, 癌細胞が死ぬ条件でも生き残る. どの様にして生まれるのかはよく分っていない.

白血病や胃癌, 大腸癌など様々な種類の癌で確認されている.

転移や再発に関っており, 根治には癌幹細胞に効く治療法が必要と考えられている.

患者由来の癌幹細胞は少量で, 試験管などで再現実験する事が難しい為, 創薬研究が進んでいない.

Have a nice weekend!
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