(4044) ニジマス, 試験管で大量に増殖2020/11/24 02:29

ニジマスの卵や精子のもとになる生殖幹細胞を, 試験管で大量に増殖させる事に世界で初めて成功した, と東京海洋大の吉崎 悟朗教授 (魚類養殖学) のチームが発表している.

1 匹の雄の幹細胞から卵や精子を作り, 1700 匹の孵化に成功したと言う.

順調に成魚に成長しており, 貴重な水産資源の魚を保護しつつ, 大量生産を可能にする技術として期待される.

吉崎教授は, 養殖生産や絶滅危惧種の保全に貢献したいと説明し, 「ニジマスに近いサケやマスの仲間ならば, 数年で保全事業に活用出来る. クロマグロへの応用も 5 年程度で実現を目指したい」 とコメントしている.

チームは, これまでに 1 匹のニジマスから取り出した幹細胞を使って, 卵と精子の両方を作製し, 成魚を得る事に成功していた.

今回の成果により, 幹細胞を採取する為の魚を何度も捕獲する必要がなくなった.

チームは, 精巣の中で生殖幹細胞を育てる 「セルトリ細胞」 を使い, ニジマスの血漿などと合わせて培地を作製. 試験管内で効率よく増殖させる方法を編み出した由.

28 日間培養した幹細胞を, ニジマスの稚魚の雌と雄に移植すると, それぞれ 2 年で卵と精子が出来た.

受精させると, 多くが正常に孵化し, 成魚になる事を確認した.

ニジマスの生殖幹細胞を卵や精子へと分化させるには, 一旦, 雌と雄の稚魚に移植して育てて貰う必要がある.

クロマグロなどの貴重な種で利用する際には, 幹細胞を育てる魚を別の小型の魚で代用する事を目指すと言う.

成功すれば, クロマグロそのものは殆ど消費する事はないとの事.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (ユーラシアワシミミズク)

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