所得格差は健康格差に繋がる2010/04/03 21:48

日本福祉大学の近藤克則教授によれば, 所得や学歴, 職業などの社会階層により健康状態や寿命に違いがある事を 「健康格差」 と呼んでいるそうである.

社会階層が高い人ほど要介護状態や鬱状態が少なく, 死亡率も低い.

また, 人間関係の影響も大きく関っており, 結婚していたり, 友人が多かったり, 社会活動を活発に行っていたりする人の方が, 健康で死亡率も低いと言う調査結果が得られているとの由.

更に, 所得や職業が安定していても健康格差と無縁ではなく, .相対的な立場の差が健康状態に影響しているらしい.

格差が大きい社会では, 「勝ち組」 でさえ不幸になる. 所得格差が大きい地域では健康状態が悪く死亡率が高くなる.

成果主義の導入後に一部上場企業でも鬱病が増えるなど, 職場内のポジションを明確にし過ぎるのも健康に影響する.

所得や職場が同じでも健康状態に差が出てしまうのは心理的ストレスが一因だ. 人間関係が豊かな人は, 健康状態が良い事が判っている

今日の日経夕刊の 「社会保障ウォッチ」 で, この事が取り上げられていた.

今, 米国ではオバマ大統領が政治生命を賭けて 「医療制度」 を改革しようとしている. 一方, 日本では国民皆保険制度が実現して来年で 50 年になる.

然し, 経済的事情で国民健康保険料を滞納し, 実施値無保険状態の世帯数は 30 万にも及び, その結果, 医者にかかれず死亡した人が 2009 年だけで 33 人いたと言う (全日本民主医療機関連合会).

所得格差が他人への不信感を高め, 犯罪が起り易い土壌を生み, 地域社会や企業内部における連帯感や問題解決力も乏しくなる.

このようにして, 格差拡大社会は低所得者のみでなく, 所謂, 「勝ち組」 と呼ばれる人の健康も蝕む, と近藤教授は警告している.

とすれば, 我々は 「格差」 がますます拡大して行くのを, 手をこまぬいていて良い筈はない.

然し, 万人に平等な社会主義国家ないしは共産主義国家を目指すのではなく, (George Orwell がその著書 『Animal Farm』 や 『1984』 で社会主義・全体主義を痛烈に皮肉っているが, 最早, 共産主義国家と言えるのは世界中で北朝鮮 1 国になってしまった事実からもそれは明白と言える.) 「努力した者が正当に報われる社会」 「失敗しても再挑戦できる社会」 を目指すべきではないか, と私は思っている.

決して一筋縄ではいかないが, 先ず, 昨今の様に 「利権と結び付いた」 嘆かわしい政治を変えて行く事もその一方策であろう.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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