健康小話

骨盤は, 背骨から繋がっている 「仙骨」 と 「尾骨」, 左右に拡がって, 内臓を包み込むように保護している 2 枚の 「寛骨」, と 4 つの骨が組み合わさって構成されている.

普通はこの 「骨盤」 を日常生活で意識する事は少ない. 然し, 肩凝り, 腰痛, 月経痛, 便秘など, 様々な身体の不調が骨盤に起因していることが少なくないのである.

「健美ｻﾛﾝ渡部」 院長の渡部信子さんは, 骨盤ｹｱの啓蒙を図って, 全国を講演などで駆け巡ったり, 著書を出したりと多忙な毎日を送っている女医さんである.　以下はその渡部院長の話の骨子である.

昔の女性は農作業や畳の生活を通じて, しゃがんだり, 起ち上がったりと言う運動を繰返していたため, 骨盤を支える筋肉や靭帯が鍛えられていた.

然し, 社会進出が目覚しい現代の女性は, 長時間ﾊﾟｿｺﾝ作業をしていたり, 帰宅後や休日も自宅でｲﾝﾀｰﾈｯﾄを見ていたりと運動不足になり勝ちの生活を送っている.

「しゃがむ」　と言う動作が不足している現代女性の多くが骨盤ﾄﾗﾌﾞﾙを抱えているのである.

骨盤は何よりも内臓を保護すると言う機能を有している. そして, 女性は, 妊娠により, この機能が一層高まり, 出産まで胎児を守って行く訳である.

然し, 姙娠に拘わらず, 月経周期に合わせて, 骨盤はしなやかに開閉し, 適切に形を変化させているのである.

けれども, 骨盤周辺の筋肉や靭帯が弱っていると, 骨盤は正常な形に保たれず, 緩んだり, 歪んだりしてしまう.

特に最近, 骨盤が緩んだ状態や, 歪んでずれた状態のままｶﾞﾁｶﾞﾁに凝り固まってしまっている女性が増えている.

入浴後, 膣に入った湯が漏れ出てくる人は膣の入口を締める筋肉が衰え, 骨盤が緩んでいる.

ｳｪｽﾄは細いがお尻が横に拡がって大きく, 下腹がほっこり出ている人も骨盤が緩んでいる可能性がある. 腸や膀胱, 子宮などの内臓が正しい位置に保持されずにずり落ちた結果, ﾋｯﾌﾟｻｲｽﾞが大きくなる為である. 腸や膀胱の下垂は便秘や尿漏れなど不調の原因となる.

靴の踵の減り方に左右差があったり,　左右の足の長さが違う, と言う人は骨盤が歪んでいる可能性がある.

骨盤の歪みは内臓に影響を及ぼし, 臓器の働きを低下させる.

例えば, 子宮が圧迫されると月経痛や月経不順, 不妊に繋がるのである.

更に骨盤の歪みは全身に影響する. 骨盤は背骨や首, 頭など身体全体の骨格を支えているからである.

骨盤にﾄﾗﾌﾞﾙのある人は, 頭と首と間にある後頭関節がずれていたり, 強張っている. 頭痛や肩凝り, 眼精疲労などの症状の原因が骨盤の歪みだったと言う事もある.

処で, 自分の骨盤に異常が無いか, 簡単に確認する方法がある.

先ず, 両膝を両手で抱えて 「体育座り」 の姿勢を取る. その姿勢から後にｺﾞﾛﾝと転がり, そのまま背中で前後にｺﾞﾛｺﾞﾛとゆっくり転がる.

頭は床に付けない. 何回か転がったら, 膝を抱えたまま, 自然に起き上がる.

上手に転がって起き上がる事が出来れば, 凝りは酷くはない.

お尻が痛くて転がれない, 後に倒れる, 腹筋を使わないと起き上がれないなら, 凝っている証拠である.

この運動は, 骨盤や背骨の凝りを解すのにも効果的なので, 毎日試すと良い.

そして, 骨盤を緩める理想的な姿勢が, 相撲で言う 「蹲踞 (ｿﾝｷｮ) の姿勢」 である. みぞおちをすっと上げ, 胸を張り, 両膝をしっかりと開き, ﾌﾗﾌﾗせずに, 5 秒間保てるようになると良い.
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はり・きゅう・ﾏｯｻｰｼﾞ トミイ
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