山折 哲雄氏 「病と生きる」 から2010/08/01 03:36

日本を代表する宗教学者である山折 哲雄氏は 「病と生きる」 で, 次の様に述べている.

“西洋医学の恩恵を受けている, と思う事がしばしばある. 胃潰瘍を初めとする手術を何度か経験したし, 薬を使って治療をしたこともある. 命を救うという点では西洋医学は素晴らしい.

然し, 命を永らえると言う点では東洋医学の方が一歩先を行っているとも思う.

確かに漢方にせよ, 東洋医学には手術と言う手段はない. でも, 「養生」 と言う思想がある. 人間の生命力を元通りにしようと言う考えが貫かれているのだ.

「病気の根治を目指す西洋医学と, 機能の回復に力点を置く東洋医学のいい面を統合できないか」 と何時も考えている.”

また, 立花隆対談集 「臨死体験と宗教」 によると, 山折氏は, 学生時代に十二指腸潰瘍のため大量に吐血. このとき臨死体験をしているが, 「このまま死んでいくのも悪くない」 と感じたそうである.

その後 3 ヶ月間入院するが, 点滴を受けながら 10 日間くらい絶食をする. この際, 5,6 日目あたりから五感が非常に冴え, 清澄な気持ちになることを体験したという.

平安末期の念仏結社の人々の体験である 「二十五三昧会」 が脳裏をよぎり, 人間は危機的な状況で, ある生命の反逆作用が起こり, 超日常的なイメージを見るのでは, と覚り, 世界観ががらりと変ったのだそうである.

この時から自分自身の肉体が研究対象になる.

それ以前は, 死は無に帰するという近代ヨーロッパ的な観念的無神論者であり, 死後を積極的に否定していたのである.

然し, その体験後は, 死後の世界を想定したほうが人間の生き方が豊かになると考えるようになったという.

以上の様な自己の体験が背景となって, 冒頭に述べた様な, 東洋医学についての見方が出て来ているものと考えられる.

山折氏がいみじくも指摘した様に, 東洋医学には, 人間が本来有している 「生命力 = 免疫力」 を高めてやろうとの考えが根底にあるのである.

それ故, 治療と言う観点からは言うまでもなく, 健康の維持・向上と言う側面からも, 鍼灸や漢方をもっと活用する余地が沢山あるのである.
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中高生の 13% が弱い幻覚・妄想を経験2010/08/02 02:01

7/8 付日経夕刊に 「弱い幻覚・妄想, 中高生 13% が経験, 厚労省研究班 “早期発見が必要”」 との記事が載っていた.

記事によると, 中学・高校生の13%で, 弱い幻覚や妄想などの経験があることが, 厚生労働省研究班 (主任研究者 = 岡崎祐士・東京都立松沢病院院長) の大規模調査で判った, と言う.

また, 思春期に精神的な不健康状態を放置すると, 将来, 精神疾患を患うリスクが高まる可能性もあると言われており, 研究班は早期発見・支援の必要性を訴えている.

調査は 2008 - 09 年に高知県と三重県の中高 73 校で実施. 中 1 から高 3 の男女約 1 万 8100 人にアンケートに答えて貰ったもの. 回答率は 93%.

その結果, 全体の 13.8% の生徒が 「誰かに後をつけられていると感じたことがある」 「他の人には聞こえない声が聞こえる」 と言った, 弱い幻覚や妄想を経験したと答えた.

また全体の 2.1% は, 幻覚や妄想を経験して精神的に不健康だと自覚しているものの, 誰にも相談していなかった, と回答しているらしいが, こうした生徒の中には, 頭痛やだるさに悩む生徒が目立ったと言う.

また, 自傷行為や鬱状態に悩んでいる人もいた.

海外の研究では, 思春期に弱い幻覚や妄想を経験すると, 将来, 統合失調症などの精神疾患のリスクが高くなるとの報告があるという.

研究班の東京都精神医学総合研究所の西田敦志研究員は 「困っていて助けが必要な生徒が放置されている. 早期発見に取り組み相談に乗るなど支援が必要だ」 と話している, との由.

13.8% と言う数字を如何見るか? であるが, これは予想以上に大きいと捉えるべきであろう. 昔から, この種の患者は一定の割合で存在していたが, 現代の若者の心は, 想像以上に病んでいるのである.

然し, これは若者に限った事ではない. 以前もこの欄で触れているが, 全国規模でみても, 病院の外来患者で最も多いのは, 何らかの形で精神に不調を訴えている患者である.

身体の健康もさることながら, 心の面での健康も大切である事に変りはない.

A Sound Mind in a Sound Body! (健全なる精神は, 健全な肉体に宿る) とはよく言われるが, 何れかが病むと, もう一方も必ず病んで行くのである. 精神と肉体は表裏一体, 繋がっているのだ.

スポーツによって身体を鍛える事は可能である, が, 精神を健全に保つ術は容易ではない. 誰しも, これをやれば絶対大丈夫, と言う手段はないからである.
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企業は社員の「健康」・「幸せ」にもっと関心を!2010/08/03 03:41

モンブラン GBU ジャパンのニック・ワディントン最高経営責任者が, 次の様なエッセイを寄せている (日経夕刊 2010-07-12 「Nippon ビジネス戦記」).

“私のオフィスは東京・半蔵門にあり、重要なランドマークの一つ、皇居に面している。

個人的に興味深いのは、世界有数のベスト・ジョギングコースでもあると言うことだ。 1 周およそ 5 km という適度な距離と幅、皇居をぐるりと取り囲む緑豊かなお堀、まさに最適な環境だ。

何よりも東京の中心に位置しており、多様な顔を持つ街と繋がっている面白さがある。 ショッピング街である銀座、丸の内のオフィス群、伝統的な神田。 施設では東京国立近代美術館や国立劇場、靖国神社、そして東京の国際性を象徴する英国大使館も近い。

昼時や夕方、沢山の人々がこの良さを満喫していることに最近気づいた。

彼らはランチタイムや夕方にジョガーに変身するのだが、その数はここ数年で 10 倍にも増えたようだ。

大都市の恩恵を享受でき、生活の質を高めていくことは素晴らしいと思う。

新たなビジネスも登場している。

例えば最近、半蔵門にあるエフエム東京のビルでは、これまでカフェだった地下のスペースをロッカーとシャワーを完備したジョガー用施設へと転換し、質の高いサービスを提供している。

ロンドンで働いていたころのオフィスにはシャワールームが完備されていた。 ロンドンにはハイドパークなど美しい公園があり、そこで多くの人が出勤前やランチタイム、勤務後にスポーツを楽しみ、会社のシャワーで汗を流す。 業種を問わず日常的な光景だ。

東京でも多くの企業が、社員の健康と幸せにより関心を払い、こうした社員のニーズに応えられるようになることを願う。”

海外ではワディントン氏が述べている様に, 以前より, 社員の健康管理にとても関心を払っている企業が少なくない. 社員が健康である事が業績の拡大に結び付く事を知っているからだ.

その意味では, 日本はまだまだ遅れていると思わざるを得ない.

例えば, 最近のランニングブームには目を見張るものがあり, 東京マラソンの出場権を得るには大変な倍率に勝ち抜かねばならない.

然し, 定時後, スポーツを愛好する社員のためにロッカーやシャワーをオフィスに完備する会社など極めて稀である. ましてや, オフィスの一角にジムを設けている会社など, 恐らく皆無に近いのではないだろうか. 勿論, 日本の土地代の高さを初め, 海外との社会環境・経済環境の違いがあり, 止むを得ない局面はあるのだが.

とは言え, 遅ればせながら, 社員の心身の健康管理を積極的に行う事は, 会社にとって決してマイナスにはならない事を, 日本の企業も認識し始めているのは喜ばしい事である.
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貝原 益軒の 『養生訓』 を読む (17)2010/08/04 03:25

心を常に従容 (ショウヨウ) としづかにせはしからず, 和平なるべし. 言語はことにしづかにしてすくなくし, 無用の事いふべからず. 是尤 (コレモットモ) 気を養ふ良法也. (巻第二 43)

従容として死につく, などと言う言い回しは, 今では 「死語」 に近いのであろうか. 従容とは, 危急の時にも, 落着いたゆとりのある様子を言うのである. 気を養うには, ゆったりとした心の在り様が大切だと説いているのである.

心身の Relaxation (リラクセーション) を心掛ける事は, 健康管理の基本である.

東洋医学にも Relaxation 効果があるのは勿論で, もっと活用して戴きたいと思っている.
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池下 育子式 「女性のための “キレイなからだ” のつくり方」 - Part (1)2010/08/05 02:39

池下レディースクリニック銀座院長の池下育子医師は, 婦人科のみならず, 女性の身体, ストレスなどのトラブルの解決にも積極的に取組んでいる.

「働く女のストレス症候群」 (主婦の友社), 「きれいになる女の医学」 (講談社) など多くの著作をものしている.

その池下医師が過日 「心と体のリズムを味方につける」 と題してセミナーを開催している. 以下はその骨子である.

私が開業するクリニックに患者としてくる女性を見ていると, 完璧主義の人が多い. 仕事もプライベートも恋も総てやりこなそうとして, ストレスを溜め込んでいると言う印象があります.

「一寸力が入り過ぎているのでは」 と心配になるぐらい, 常に頑張り続けている女性が見受けられます.

来院した理由を伺うと, 疲れ易い, 調子が良くない, など病名がはっきり付けられないような症状に困っている女性が少なくないのです.

女性は生理前になると腹痛や肩凝り, 浮腫み, 眠気, イライラなどに悩まされる事が多くなります.

最近でこそ 「月経前症候群」 と言う名前が知られるようになり, こうした症状は普通にあるものだと言う認識が拡がって来ましたが, 「如何したらいいのか」 と悩んでいる女性は思いのほか多いのです.

また, 間違ったダイエットで体重を急激に減らしたために生理が止まったり, 生理不順になったり, 経血の量が減ったりと言った相談も増えています.

女性の心と体はホルモンに左右されています. ダイエットも, ホルモンのリズムに合わせた方が効果は現れ易く, 長続きもします. 逆に, このリズムを無視すると, 姙娠・出産に関る女性の大切な機能に悪影響を及ぼすこともあるのです.
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