(4901) 癌予防, ゾウに優れた仕組み2023/04/02 02:03

今日も, 引き続き, 中川 恵一東京大学病院准教授の日経連載コラム 「がん社会を診る」 からの引用です.

2 月 19 日に全国で新資格 「愛玩動物看護師」 の第 1 回国家試験が行われました.

ペットのサイズは様々で、小さな動物ほど心臓の拍動は速く, 大きい動物ほど遅くなります.

体重 30 グラムのネズミの心拍数は 1 分間に 600 - 700 回, 0.1 秒に 1 回拍動します.

体重 700 キログラムの馬では 2 秒に 1 回, 3 トンのゾウでは 3 秒に 1 回になります.

人は 1 秒に 1 回位です.

心拍だけでなく呼吸や食べたものが排泄されるまでの時間など, 生きる活動のテンポは, 体重の 4 分の 1 乗に略比例すると言われます.

一生の間に心臓が拍動する回数は, ネズミでも馬でもゾウでも人でも 15 億回で略同じ様です.

このテンポを尺度にすると, 体の大きさに拘らず同じ位 「生きている」 と言えるでしょう.

小さな動物では時間が速く流れ, 大きな動物では遅く流れているだけなのです.

体が大きい動物は癌のリスクガ高まります.

人でも身長が高いほど大腸癌が多くなります. 細胞の数が多くなり癌化する細胞の数も増えると言う説が有力です.

処が人より大きな動物は沢山いますが, 癌が多いとは言えません.

ゾウの体重は人の 100 倍です.

人の体は 37 兆個の細胞から出来ていますから, ゾウは 3000 兆個以上の細胞を持っている事になります.

動物園で死んだ 644 頭のゾウを解剖した処, 癌で死亡した割合は 5% もありませんでした.

日本人の癌死亡率は男性 26%, 女性 18% ですから, ゾウの癌死亡率は驚く程低いと言えます.

ゾウには 「ゲノムの守護者」 と呼ばれる, 癌細胞の発生を抑える P53 と言う遺伝子が多くあります.

人の遺伝子には 1 組しかない P53 遺伝子が, ゾウには何と 20 組も存在していたのです.

更に P53 遺伝子によって活性化され, 遺伝子が傷付いた細胞を殺す役割を持つ LIF6 と言う遺伝子の関与を, 米シカゴ大学のグループがこれまでに見付けています.

この LIF6 遺伝子はゾウにしか見付かっていません.

クジラでも細胞の増殖を促進する癌遺伝子の働きが抑えられています.

癌抑制遺伝子が活性化し, 遺伝子の異常を修復する能力も高いと考えられています.

北極クジラは体重が 100 トンにもなり 150 - 200 歳と長生きですが, ゾウと同様に癌は少ないとされています.

体が大きい動物は長寿でもあり, 癌対策を進化させる必要があったのです.

ゾウやクジラが長い時間を掛けて編み出したそのメカニズムは, 将来, 人にも応用可能だと思います.

本日のカット写真 : 下平 宏氏フォトギャラリーから (トラツグミ)

Have a nice weekend!
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