(4902) 免疫のブレーキ外す新薬に衝撃2023/04/03 01:21

今回も引き続き, 中川 恵一東京大学病院准教授の日経連載コラム 「がん社会を診る」 からの以下引用です. 参考にして戴きたい.

2014 年, 免疫チェックポイント阻害剤 「オプジーボ」 がわが国で保険承認を受けました.

この薬は, 癌細胞が免疫細胞に掛ける 「ブレーキ」 を外して攻撃を再開させます.

免疫の働きを高めるタイプの従来型の免疫療法は, 有効性が明らかではないため, 健康保険が利きませんが, 免疫チェックポイント阻害薬は多くの癌に対して科学的に効果が証明されています.

オプジーボが承認された時, 対象となる癌は皮膚癌の一つメラノーマでした.

これに続く 「ヤーボイ」 と 「キイトルーダ」 も当初の適応疾患はメラノーマでした.

メラノーマの罹患数は年間 2 千人足らずで, 新薬の恩恵に与る人は限られています.

原価計算の結果, 年間の薬価が約 3500 万円にもなってしまったのも患者数が少ない為でした.

その後, 薬の種類と対象となる癌種も増えましたが, 治療対象の殆どが, 再発や転移を伴い, 治癒が難しい進行癌でした.

然し, オプジーボの開発に繋がる研究で, 本庶 佑氏がノーベル生理学・医学賞を受賞した 18 年, 風向きが変りました.

日本では 6 番目の免疫チェックポイント阻害剤である 「イミフィンジ」 が, 進行していて手術は出来ないものの, 転移がないステージ 3 の 「非小細胞肺癌」 (肺癌の 85%) を対象に承認されたのです.

承認の理由となったのが, 世界的に注目を集めた 「PACIFIC (パシフィック) 試験」 の結果です.

この臨床試験では 「切除不能な局所進行非小細胞肺癌」 の患者に, 抗癌剤と放射線を同時に進める 「化学放射線療法」 を先ず行いました.

そして病状が進行していない患者を対象に, イミフィンジとプラセボ (偽薬) を 2 対 1 の割合で無作為に投与して追跡しました.

中間評価の結果, イミフィンジ投与群で, 有意に生存期間などが延長した為, 国内での承認に繋がりました.

更に, 5 年間追跡した長期解析結果が 22 年に公表されました.

5 年全生存率はイミフィンジ投与グループが 43% で, 33% のプラセボグループを有意に上回っていました.

私は 38 年近く, 肺癌の放射線治療を行って来ましたが, 切除不能なステージ 3 の非小細胞肺癌で, 5 年生存率が 4 割を超えた事に衝撃を受けました.

PACIFIC 試験に限らず, 放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との併用は, 相性抜群と言えます.

特に, 放射線を掛けていない転移病巣にまで効果が及ぶ 「アブスコパル効果」 も注目されています.

本日のカット写真 : 下平 宏氏フォトギャラリーから (カワセミの交尾)

Have a nice day!
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