健康小話

今回も, 中川 先生の日経連載ｺﾗﾑ 「がん社会を診る」 からの以下引用です. 参考にして戴きたい.

膀胱癌を 「自己超音波検査」 で発見し, 内視鏡切除を受けてから 5 年が経過しました.

私の場合, 血尿はおろか全くの無症状でした.

偶々膀胱に超音波のﾌﾟﾛｰﾌﾞを当ててみたら, 膀胱癌が見付かったのです. 1 ｾﾝﾁﾒｰﾄﾙ余りの 「上皮内癌」 でしたが, 泌尿器科の主治医からは 5 年以内に約 5 割の確率で再発すると宣告されました.

取り敢えず 5 年間は無事だった訳ですが, 今後も再発のﾘｽｸは多分に残ります.

痛いし, 恥ずかしいですが, 半年毎に膀胱内視鏡検査は受ける心算です.

膀胱癌の再発予防の為に私が心懸けているのが, 乳酸菌の摂取を欠かさない事です.

手術直後から 「ﾋﾞｵﾗｸﾁｽ」 と言う乳酸菌製剤を服用していました.

これはﾔｸﾙﾄ本社が製造･販売する医療用医薬品で, 乳酸菌の一種である 「ﾗｸﾄﾊﾞﾁﾙｽ･ｶｾﾞｲ･ｼﾛﾀ株」 の生菌を製剤化したものです.

生菌とは文字通り生きた菌の事で, 「ﾌﾟﾛﾊﾞｲｵﾃｨｸｽ」 とも呼ばれます.

私の様に表在性の膀胱癌の治療を受けた患者がﾋﾞｵﾗｸﾁｽを服用すると再発率が低下する事が, 東大病院泌尿器科などによる研究で明らかにされています.

別の研究でも, 乳酸菌飲料が膀胱癌の発症ﾘｽｸを半分にする事が分っています.

「ｼﾛﾀ株」 はﾔｸﾙﾄの創始者である代田 稔博士が 1930 年に発見した乳酸菌の一種です.

胃酸に強く, 生きたまま腸に届くのが特徴で, ﾋﾞﾌｨｽﾞｽ菌などの善玉菌を増やし腸内環境を整えます.

ﾔｸﾙﾄの名前で, 日本を含む 40 の国と地域で販売されています.

私が処方を受けていたﾋﾞｵﾗｸﾁｽはﾔｸﾙﾄそのものと言えますが, 2020 年 3 月で販売中止になりました.

当に 「ﾄﾞﾗｯｸﾞﾛｽ」 に直面した訳です.

ﾋﾞｵﾗｸﾁｽが販売開始となったのは 30 年以上も前の事ですから, 薬価が安くなり過ぎた為だと思います.

ﾋﾞｵﾗｸﾁｽを 1 日 3 回服用しても薬価は 20 円も掛かりません.

ﾔｸﾙﾄを買って飲むよりずっと安い訳です.

糖尿病の第一選択薬のﾒﾄﾎﾙﾐﾝは長生き効果の他, 癌の予防や抗癌作用も期待される素晴らしい薬です.

然し 60 年も使われている為, 一錠 10 円程度と安価で, 製薬会社にとっては莫大な費用を掛けて臨床試験を行う動機に欠けるでしょう.

薬はただ安ければ良いとばかりは言えない訳です.

次回もﾔｸﾙﾄを初めとするﾌﾟﾛﾊﾞｲｵﾃｨｸｽについて考えます.

Have a nice day!
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